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あの人も和菓子が好きだった! エピソードからひもとくおいしい日本史

8/13(日) 11:00配信

ダ・ヴィンチニュース

 空腹状態で書店に入ったのがいけなかったのだろうか。またダイエットの妨げになりそうな本を見つけてしまった。歴史上の有名人と和菓子にまつわるエピソードを集めた一冊。その名も『和菓子を愛した人たち』(虎屋文庫/山川出版社)である。

 虎屋文庫は室町時代創業の老舗和菓子店、虎屋が設立した資料室。虎屋歴代の古文書、古い和菓子の木型といった和菓子関連の貴重な資料を収集・収蔵しているほか、調査研究や広報活動も活発に行なっている。その一環として虎屋ホームページに発表された連載「歴史上の人物と和菓子」のなかから選りすぐりのエピソード100本を選び、1冊にまとめあげたのが本書だ。

 現代日本でもスイーツ好きの人間は多いけれど、それは昔の人々も同じだったようだ。執筆スタッフ一人一人の趣味や専門を反映した結果、平安貴族から戦国武将、茶人、近代の文豪まで時代もジャンルもさまざまな人物たちのエピソードが集まった。

 たとえば平安時代の歌人・和泉式部が自分の息子に送った「草餅」。現代ではヨモギを使うのが一般的な草餅だが、当時は「母子草」(七草粥に入っているゴギョウ)を使って作られていた。そのため草餅は「母子餅」とも呼ばれていたそうだ。和泉式部は「母子餅」にかけて、離れて暮らす息子への思いを歌に詠んだ。情熱的で恋に奔放なイメージのある和泉式部だが、同時に愛情深い母親の顔も持っていたことがわかる。

 大の甘党・芥川龍之介が大盛りをペロリと平らげお代わりをしたという白あんの汁粉、初代米国総領事ハリスに驚きと感動を与えた菓子の折り詰めなど本書にはまだまだたくさんの魅力的な和のスイーツが登場する。虎屋をはじめとする和菓子屋の職人が丹精を込めて作った芸術品のような逸品から、自宅で作れそうな素朴なおやつまでバラエティに富んだラインナップだ。

 これらのなかには先ほど紹介した「草餅」のように現代まで生き残っているものもあるし、「幾世餅」や「白雪糕」のように長い歴史の中で廃れてしまったものもある。文献の記述から再現されたカラー写真の数々を見るうちに「一体どんな味がするのだろう」と失われた菓子たちへの興味がふつふつと湧いてくる。胡麻と求肥を使った「浅茅飴」のように現代人の目から見てもそそられる菓子も多い。

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