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地政学リスクの高まりで浮き彫りになるイールドカーブ・コントロールの欠点

8/14(月) 8:54配信

NRI研究員の時事解説

<要旨>

北朝鮮と米国との間での軍事衝突の可能性を巡って、グローバルな金融市場は足もとで俄かに動揺し始めている。一般に地政学リスクが高まると、グローバルに国債利回りが低下しやすくなるが、それは、経済・金融市場の安定維持に貢献する。しかし10年金利に0%程度という目標値を設定した「イールドカーブ・コントロール」のもとでは、地政学リスクの高まりを受けた国債利回りの低下が妨げられる。そのため、他国と比べて日本での金融市場の不安定性は大きくなりやすいのである。さらに、内外長期金利差の変化が円高進行を促し、株価に下落圧力をかけるという側面もあるため、地政学リスクが金融市場に与える打撃は、他国よりもかなり増幅される。これが、「イールドカーブ・コントロール」という枠組みの欠点の一つである。地政学リスクの高まり次第では、「イールドカーブ・コントロール」という枠組みを大きく見直すきっかけになることも考えられる。

地政学リスクの高まりは国債利回りの低下を促す

北朝鮮と米国との間での軍事衝突の可能性を巡って、グローバルな金融市場は足もとで俄かに動揺し始めている。日本銀行が昨年9月に導入した「イールドカーブ・コントロール」によって、日本ではそうした地政学リスクの金融市場への悪影響が増幅される可能性があり、これが「イールドカーブ・コントロール」の欠点の一つを浮き彫りにさせている。

一般に地政学リスクが高まると、投資家はリスク回避の志向を強め、金融資産を安全資産に移す傾向がある。代表的な安全資産が国債であるため、グローバルに国債利回りが低下しやすくなる。こうした国債利回りの低下は、経済・金融市場の安定維持に貢献するのであるが、これこそが市場メカ二ズムの健全な作用とも言える。

「イールドカーブ・コントロール」は金融市場の不安定性を増幅する

具体的には、国債利回りの低下はあらゆる金利の低下に繋がることから、地政学リスクがもたらす企業、家計の心理的な悪影響や、それが実際に経済活動に与える悪影響を緩和するのである。他方、国債利回りの低下は、キャッシュフローの割引現在価値を高めることも通じて株価を支えるなど、リスク資産価格の安定にも寄与するのである。

ところが、10年金利に0%程度という目標値を設定した「イールドカーブ・コントロール」のもとでは、地政学リスクの高まりを受けた国債利回りの低下が妨げられる。そのため、他国と比べて日本での金融市場の不安定性は大きくなりやすいのである。さらに、内外長期金利差の変化が円高進行を促し、株価に下落圧力をかけるという側面もあるため、地政学リスクが金融市場に与える打撃は、他国よりもかなり増幅されるのである。

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