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建物価格が1億円以上の富裕層向け「社長の邸宅」プロジェクトの気になる中身

8/14(月) 7:30配信

@DIME

◆思い描いた理想の家を具現化する「社長の邸宅」

 注文住宅、デザイン住宅を手掛けるフリーダムアーキテクツデザイン(以下フリーダム)。設立22年を迎え、設計者150名、1年間の受注件数約400棟まで成長している。

【写真】建物価格が1億円以上の富裕層向け「社長の邸宅」プロジェクトの気になる中身

「当社の始まりは設計事務所なので、基本となるのはお客様と設計者が作る完全自由設計の家づくり。起業した理由として、建築家、設計事務所をもっと一般の人に提供したいという思いがあった。建築家個人でなくチームで対応する強みもあり、年間400棟近く実績があるのでコストコントロールもできる。現状ではフリーダムの工事金額は平均すると2500万円で、そこで建築家の知見を集結して提供している。そういったところが成長してきた理由ではないか」(フリーダムアーキテクツデザイン 代表取締役社長 鐘撞 正也氏)

 同社が7月末より開始したのが、建築家価格が1億円以上の富裕層に向けた家づくりプロジェクト「社長の邸宅」。同社で手掛けている1億円以上の邸宅は年2~3棟。こうした富裕層を調べると、8割以上が土地探しから始めており、情報源として住宅展示場やネット検索に頼っているという現状がわかった。

「今はネットが発達しており、以前のように著名な建築家の先生に作っていただくというより、自分たちが作ってもらいたい形にしてくれる建築が望まれている。どういった会社に依頼するかというと、まず挙がるのはハウスメーカー。しかし営業マン主体の家づくりで、計画の前段階で設計者が出てくることはほぼない状態で、自分の想いが形にできないストレスがある。工務店は造り手なのでデザイン性が乏しい。最近はデザイン工務店もあるが、設計に関しては外注が多い。建築家も大抵が年間1~2棟なので、建築家の作品作りの実験台になっているのではと感じる人もいる。また建築家は家自体のハードは得意だが、内装、インテリアは分野が違うという状況もある」(鐘撞氏)

 会社経営者などの高額所得者層が抱えるこうした家づくりの課題解決を目的としたのが「社長の邸宅」で、世界中のインテリアデザイナー、音響器具、家具などの各メーカーと連携した家づくりを行う。

◆VRシステムの活用やラグジュアリーブランドとの協働で新しい家づくりを

 注文住宅の場合、打ち合わせは一部でCGを使うものの基本的には図面で行う。建築知識のない一般人には平面図ではイメージがわきにくい。同社で20年に渡り設計に携わっている設計企画部長の長澤 信氏はこう話す。

「設計士が頭で考えていることをきちんとクライアントに伝えられているか、クライアントも自分の思っていることが反映されているのかと、常に言葉のキャッチボールに追われている。完成したときに、こんなはずじゃなかったと思われることが一番辛く、非常に申し訳ないという気持ちと、もっと詰めればよかったという後悔を感じる」

 こうした齟齬が生じないために、同社ではVRアーキテクツシステムを半年前から実験的に導入している。「社長の邸宅」プロジェクトはVRシステムをさらに強化し、最初の打ち合わせ時からVRを使い、1棟丸ごと自由に歩けるVR空間でより具体的な提案を行う。アンケート結果では、平面図とCGでは空間がうまくイメージできなかったと答えたのは45%に上ったが、VRに関しては100%がわかりやすいと回答した。図面の中を“歩く”ことで、平面図ではわかりにくい室内の奥行感や天井高、家具のレイアウトをより具体的に確認することができる。

「家具、内装も実際にあるものを揃えているので、よりリアルに、どこが良い、どこがダメかが非常にわかりやすい。VRは図面と連動しているので、写真とVRを比較しても形状が一致している高いクオリティ」(長澤氏)

 さらに平面図ではわからない、部屋への光の入り具合も「ソーラーシミュレーション」を使うと、緯度、経度により何月何日には、どういう陽があたり方になるかシミュレーションできる。長澤氏が挙げた例は、庭に面して大きな窓を取り、1階に陽のあたる大きなリビングを作るというケース。最初のプランでは天井が一層分だけで、南側に大きな窓を取ったので陽が入るだろうと考えられたが、シミュレーションをしてみると大きなリビングだったため手前しか陽が入らないことが判明。窓の高さを上げてみると、部屋の奥まで陽が入ることがわかったため、設計を変えて天井の高いリビングに。

 富裕層は金銭的な感度が高い人が多いため、すべてに高額なもの使うのではなく、いいところは残し、落とせるところは落としながらコストコントロールして、メリハリをつけるのが重要と同社では考えており、22年のノウハウの蓄積で得たスケールメリットを活かしたコストコントロールをしていく。また、富裕層の邸宅は土地探しから始める人が多いため、同社では不動産専門の社員を擁している。

「富裕層のお客様は○○駅の近くという要望ではなく、例えば、駒場公園の東側というようなピンポイントの要望がある。そのエリアに強い不動産担当の意見を聞き土地探しからの提案をしていく。個人融資を含めローンなどのファイナンスのサポートも行っている」(長澤氏)

「社長の邸宅」プロジェクトには、バング&オルフセン、テクノジム、「ランドロイド」のセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズなどのラグジュアリーブランド企業と協働する。

「バング&オルフセン、ランドロイドなどは設計初期段階から入れていかないと実現しにくい。また、Minottiの家具はとても大きなもので、後から入れると空間が足りないこともあるし、リビングの近くで簡単に体を動かせるというテクノジムの考え方は、設計段階から取り入れることがベスト。こうした最先端のブランドと共に作っていく」(長澤氏)

◆世界中の専門家を選べるプラットフォーム「Houzz」と連携

 今回のプロジェクトでは設計ジャンルの会社が不得意な、内装、アートワークに関して最上級のインテリアを実現するために、住まいの専門家と住まい手をつなぐグローバルなプラットフォーム「Houzz(ハウズ)」のサービスを利用する。

 シリコンバレーで誕生したハウズは、アプリとサイトを運営しており世界で月間4000万人が使っているサービス。15か国でサイトをオープンし、世界で100万人以上の専門家がハウズに登録している。

「住まい手は自分の理想を具現化したいが、その手段がわからないという人が非常に多い。情報収集といってもネット検索ではどんなキーワードで、何を検索すればいいかわからないし、住まいのイメージが固まっても、だれに仕事を依頼していいかわからない。専門家を見つけるのも難しく、施工に入っても建材や壁紙を選ぶ、インテリアを探すなど個人では困難を極める。家を作るには多くの課題があり、弊社の創業者もそうした経験者の一人。夫婦で中古住宅を購入して時間とお金をかけてリノベーションしたが、できあがった家は理想から程遠いもので、こうした実体験をもとに、情報の行き来がしやすい、人と人を結ぶ、ものを見つけることがより簡単にできるハウズというプラットフォームを作った。

 ハウズでは専門家を見つける画面や、施工した画像、記事などを提供。設計者、家具メーカー、建材メーカー、工務店、インテリアデザイナーと、各専門家の力を合わせて作るのが家づくりの本来の形だと考えており、専門家同士のコミュニケーションをより円滑にするためにハウズを使って情報交換をしてもらい、住まい手にもハウズのツールをうまく使っていただく。『社長の邸宅』プロジェクトは、弊社と非常に親和性が高いと思う」(ハウズ・ジャパン 代表取締役 加藤 愛子氏)

 ハウズでは世界中の1400万枚以上、日本全国の27万枚以上の施工写真が閲覧可能で、画像からその空間を作っている専門家を簡単に見つけることができる。また、世界中の専門家の中から、イギリス風のインテリアが希望ならロンドン在住のインテリアデザイナーを検索するといった方法も。出てきた専門家にワンクリックでプロフィールに飛ぶことができて、プロフィールには過去の事例写真や会社概要、レビュー、ハウズで設置されたアワード受賞歴といった判断基準が詰まっている。

 4000万人から最も評価されたアワード「ベスト・オブ・ハウズ」はデザイン、サービスの部門があり、フリーダムもデザイン分野で受賞歴があり、サービス分野は住まい手にどれだけサービス面で評価されたかで決める。ハウズが15万人に聞いた調査では、レビュー、口コミで専門家を選ぶ人が多く、このバッチがついた専門家はまさしくユーザーのお墨付きといえる。

 海外の専門家とやり取りする際に言葉の問題が心配だが、一般ユーザーはハウズ上の施工写真を「アイディアブック」に保存でき、これを専門家と共有して世界観をビジュアルで伝えることができる。「スケッチ」はハウズの画像やテンプレートを使ってインテリアのイメージをアプリ上で作ることができる。こうしたツールを使い、視覚的なやり取りで言語の壁を超えることができるのもハウズの特長だ。

【AJの読み】社長以外の一般の人でも家づくりの参考になりそう

 土地探しからアフターメンテナンスまで最上級の提案をしていくというのが今回のプロジェクトで、建物費用だけでも1億円以上と「庶民には程遠い話だな」思ってしまうが、実は一般の人が家づくりを始める際のヒントが詰まっている。

 ここ数年、若い世代が中古住宅を購入してリノベーションするケースが増えてきているが、会見でも出てきたように、どのような住まいにするのか、だれに依頼するのかという最初の情報収集から高いハードルがあるのが現実。実際にハウズが世界中のユーザーに行った調査では、リフォーム、リノベーション、インテリア替えは、他国と比べると日本は圧倒的に少なく、日本人は住まいに対する意識が低いという結果になった。自分たちがどういう住まいに住めばいいかわからない、情報源があまりないなどの課題があるのではないかとハウズでは見ている。

 今回の試みのような、建物と空間の専門家が連携して一体化する家づくりは海外では一般的だが、まだ日本の住宅では実現できていないとフリーダムの長澤氏は話す。VRアーキテクツシステムも今後、技術発展やノウハウが蓄積されることで、フリーダムの一般の注文住宅にも使用される可能性もある。ハウズの活用やVRシステムの登場など、注文住宅を考えている人にとって参考になるのではないか。

文/阿部 純子

@DIME編集部

最終更新:8/14(月) 7:30
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