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全長15kmの透明テープが「感覚」をデザインする

8/14(月) 12:30配信

WIRED.jp

いったい何本のテープを費やせば、こんな巨大な構造物がつくれるのだろう──。そんな疑問を抱かざるをえないインスタレーション作品が、21_21 DESIGN SIGHTで2017年10月1日まで開催中の企画展『「そこまでやるか」壮大なプロジェクト』展に展示されている。設営の模様を撮影・取材し、作家に創作の経緯を尋ねた。

透明テープが織りなす、巨大で幻想的な世界

子宮から産道を抜けて来たときのような? あるいは、腸詰めの具材になって羊の腸に入っていくときのような? そんな感覚を想像させる、『テープ・トウキョウ02』と題された体験型インスタレーション作品が、東京ミッドタウンにある21_21 DESIGN SIGHTで2017年10月1日まで開催中の『そこまでやるか 壮大なプロジェクト』展に出展されている。

クリストとジャンヌ=クロードがイタリアのイセオ湖に出現させた、長さ3kmにも及ぶ布の浮き橋『フローティング・ピアーズ』をはじめ、スケールや発想、作業の緻密さなどいくつかの視点から「壮大なプロジェクト」を集めたこの企画展。驚きを与える発想力や困難とも思える企画を実現する行動力など、ここに紹介されるプロジェクトの数々は、見る人に新たな価値観を提示する。

そして、サイトスペシフィックな作品によって会場に新たな景色と体験を生み出す作家として招かれたのが、3人組のデザイン/アートユニットである「Numen/For Use(ヌーメン/フォーユース)」だ。結成されたのは1998年。ラテン語で「物質や場所に宿る神または精霊」を意味する「Numen」と、実用物であることを表す英語の「For Use」を組み合わせ、活動を続けている。

工業用テープが構造体をつくる

オーストリアとクロアチアを拠点として活動するユニットのメンバーは、クリストフ・カツラー、スヴェン・ヨンケ、ニコラ・ラデルコヴィッチの3人。インダストリアルデザインの領域で制作を開始し、より自由に何かをつくれないか考えていたときに、ふと手にしたのが透明な粘着テープだった。『テープ・トウキョウ02』など工業用テープを用いた体験型インスタレーションが生まれたきっかけについて、カツラーはこう説明する。

「シンプルなテープを貼り合わせて何かを吊るす小さなインスタレーションを実験的につくったことがある。そのとき、テープという素材のクオリティに気づかされたんだ。この素材で演劇やダンスのセットデザインを手がけ、役者やダンサーがテープでできた筒状の装置にどんどん入っていくような仕組みを考えようと、メンバーたちに声をかけた。そんなときに、スペイン人振付家のナチョ・ドゥアトから、振付のきっかけとなるようなセットを手がけて欲しいと声がかかった。そこで提案したのが、舞台上に森をつくるように数本の柱を垂直に立て、ダンサーたちが透明テープをまといながら柱の間を動き、テープによって動きの跡を残すようなプログラムだった」

残念ながら、そのプログラムが劇場で実現することはなかったが、彼らはその制作から大きな手応えを得た。テープを張り合わせることによって、空間を内包する複雑な構造体をつくり上げることができるのではないか。そして実験を兼ねて、クロアチアのギャラリーでインスタレーションを発表することにした。

「展覧会が終了したら、このテープのインスタレーションがわたしたちの体重を支えられるのか試してみようとしたんだ。実際に作品内に入ってみたらあまりに安定していて、その強固さが嬉しくて気絶しそうになったほどだった。『テープを張り合わせる』というシンプルな発想から、これだけ自動的に色々な要素が結びついて展開するケースは非常に稀だと思う」

膨大な量のテープを用いたインスタレーションのアイデアは、こうして形となった。テープによってダンサーの動きの痕跡を視覚化するというセットデザインのアイデアから、パフォーマーの身体という要素を消し、来場者に体験を促すインスタレーションを完成させたのだ。

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最終更新:8/14(月) 12:30
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