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牧草地を森に還す、ユニークなブナの森づくり (1)

8/14(月) 13:31配信

オルタナ

森のライフスタイル研究所は、2013年から長野県下高井郡木島平村のカヤの平高原牧場でブナの森をつくる活動をしている。「牧場で森づくり」と聞くとちょっと不思議に思われるかもしれない。実はこの森づくりには、いくつかのユニークなことがあり、他ではあまり例がない森づくりだと思う。

農の村、木島平村の水源地、カヤの平高原

長野県の北東部に位置する木島平村は1955年(昭和30年)に穂高村、往郷村、上木島村の3つの村が合併して生まれた。北陸新幹線の駅がある飯山市の東隣にあたり、西に千曲川が流れ、南に高社山、東南に高標山、東にカヤの平高原、北に毛無山と三方を山々に囲まれた小さな村だ。カヤの平高原などの奥山から流れ出る雪解け水が、村を流れる樽川、馬曲川となり、この2本の川に沿ったなだらかな扇状地に美しい田畑が広がっている。山々からの豊かな水の恵みを生かし、稲作、畑作などの農業が盛んで、「米のオリンピック」ともいわれている「米・食味分析鑑定コンクール 国際大会」では8年連続金賞を受賞している。

国有林を借り受け、開墾して牧場に

1956年(昭和31年)に、村はカヤの平高原のブナ原生林約54haを国から借り受け、開墾して牧場をつくった。これが現在のカヤの平高原牧場だ。当時は、国民生活が欧米化していく中で牛乳の需要が増大することを見込み、麓の村から牛を連れて行き放牧した。しかし、近年になって少子化などの影響で牛乳需要量が減少し、酪農家も高齢化などにより少なくなってしまった。さらに飼育方法の変化などにより、夏にわざわざ高原に牛を連れて行かなくなった。結果、広大な牧草地の中で使われないエリアができてしまった。そこで村は利用していない牧草地を国に返還することにしたが、国は牧草地のままでは返還に応じてくれない。返還するには、木を植え、草地ではなく林地とする必要がある。意外に思うかもしれないが、森林も借家と同じ様に「原状回復」をする必要がある。

国有林の返還は、森になってから

森のライフスタイル研究所では、長野県長和町にある和田峠スキー場跡地でもカラマツの植林を行ってきたが、ここも同様で町が国有林を借りてつくったスキー場が廃業したため、国に返還するためにゲレンデにカラマツを植えた。植林自体は数年前に完了したが(一部、シカの食害に遭い再植林が必要なエリアもあるのだが…)、植えただけでは返還することはできない。植えた苗木がある程度成長し、草地ではなく林地とみなされる必要がある。しかし、どこまで成長したら林地とみなされるのか明快な基準はない。以前、林野庁に問い合わせたところ、地域の森林管理局が林地と判断したら返還できるとのことだった。

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最終更新:8/14(月) 13:31
オルタナ

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