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<新刊レビュー>因習に縛られた港町の物語、衝撃的な人口減少問題、貧血女子手帖

8/14(月) 7:30配信

週刊女性PRIME

因習としがらみに縛られた港町で孤独な青年を巻き込む悲劇

■『冬雷』
(遠田潤子=著 1800円+税 東京創元社)

 都会の施設に捨てられた少年が、狭い人間関係と古い因習に縛られた港町に引き取られる。少年は養父の事業を継ぐことを期待され、同時に後継者の義務である鷹匠の修業も始める。やがて親戚筋にあたる神社の巫女である美少女と心を通わせるが、ある悲劇に襲われ、人生を狂わされる──。

 本書の最大の特徴は、物語の根底を流れる薄暗くドロリとした空気。それは土地のしがらみであり、同調圧力であり、よそ者への敵意である。特別な狂人が事件を起こすのではなく、土地がゆっくりと人々の視野を狭め、いちばん弱いものがジョーカーを引く。そして真相が闇の中に葬りさられていくさまを、読者はじわじわと読み進めることになる。

 捨てられた少年は孤独ではあるが自由であり、家族や土地を持つ人々は、疎ましさと煩わしさにとらわれている。ラストシーンの希望を予感させる終わり方に、停滞せず進もうとする人の美しさを見た。

(文/中尾巴)

日本の人口減少が本当にヤバい! 私たちの未来がわかる話題の新書

■『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』
(河合雅司=著 760円+税 講談社現代新書)

 少子高齢化が私たちの未来にどう影響を及ぼすのか? 私は具体的なイメージができず、のんきに構えていた。しかし、この本を読んで目が覚めた。日本の人口減少は静かに、確実に私たちの生活を脅かしている。

 本書は「日本の将来推計人口」などのデータを駆使し、“人口減少カレンダー”を作成。2020年に女性の半数が50歳を越え、2024年に全国民の3人に1人が65歳以上、2033年に3戸に1戸が空き家に、2040年に自治体の半数が消滅──と、その内容は衝撃的で、日本が抱える問題の多さに途方に暮れる。

 少子高齢化社会は若者のパワーが減少していくということ。警察官や自衛官などが減ることで国防や治安の維持機能が低下し、人材不足でイノベーションも起こりにくくなり産業やカルチャーも衰退。国力は弱まり、つまらない国になる行く末なのだ。しかし、筆者はただ読者を怖がらせるだけではない。人口減少は避けられないものとして、日本を救う処方箋を提案する。この未来図をあなたはどう思うだろうか? 

(文/週刊女性編集部 T・K)

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最終更新:8/14(月) 7:30
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