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進むEV用バッテリー開発、「1充電で走行距離2倍」「コスト半減」は叶うか?

8/14(月) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

● リチウムイオンから第2世代LiBへ EV用電池はどう発展するのか?

 EV(電気自動車)用電池(バッテリー)は、今後どのように発展していくのだろうか。現在、EV用バッテリーの主流はリチウムイオン電池(LiB)である。そのエネルギー密度は100~150Wh/kg、つまり電池1kgで100~150Wの電球を1時間点灯させられる電力だ。現在開発中の第2世代LiBは200~300Wh/kg、2020年代に実用化が予想される第3世代LiBは300~350Wh/kgが可能になるといわれる。

 EV1台当たりの電池重量が100kgだとすると、現在使える電力は10~15kWh。今後数年で第2世代LiBが登場すれば、電池重量はそのままで20~30kWhが可能になる。バッテリーの改良と同時にモーターの効率が改善されれば、EVの1充電当たりの走行距離は現在の2倍近くになると予想される。

 実際、第2世代LiBの開発現場からは「正極(プラス側)にニッケルを使い、負極(マイナス側)にシリコンを使うというタイプは有望だ」との声がある。高価なコバルトなどの使用量を抑えれば、コストも安くなる。

 ただし、その一方で「化学反応電池の宿命からは逃れられない」といわれている。その宿命とは充電と放電の回数である。どう頑張っても「1500回が限度」だといわれている。電池の極材にもよるが、容量いっぱいに使えるのは充電・放電1000回までで、そこからは次第に充電可能量が減り(電池としての性能が劣化する)、最後は1500回付近で電池としての機能がなくなる。携帯電話などを長期間使っていると、“電池の消費が早くなる”ように感じられる場合があるが、これは充電できる容量そのものが少なくなっているからだ。

 EVのカタログに表記されている走行距離はガソリン車のモード燃費と同じであり、一定の走行パターンで走ったときの目安にすぎない。しかし、充電容量は走行可能距離よりも重要だ。たとえば、満充電で10kWhをためられる電池が、重量はそのままに30kWhためられるようになれば、1000回の充電では1万kWhから3万kWhになる。これを走行1km当たりの電力消費(ガソリン車の燃費になぞらえていえば、電費)で割った数値がそのバッテリーの“寿命”になる。使い方によっては10年の使用が可能になるかもしれない。

 LiBのほかには全固体電池がある。LiBは正極材、負極材、セパレーター、そして電解液が必要である。これは液体であり、固体よりも経年劣化が大きい。全固体電池は、たとえばトヨタが500Wh/kgという性能を目指してパナソニックと共同開発しているように、現在のLiBの3倍以上という蓄電能力が達成される可能性が高い。航続距離を現在のEVと同程度に抑えれば、電池容積(サイズ)は3分の1になり、重量も3分の1程度になる。この効果は大きい。エネルギー量が増えるだけでも有利なのに、軽くなれば走行性能面でもいろいろなメリットがある。

● EVが抱えるコスト問題は 電池だけではない

 問題は電池のコストだ。第1世代LiBはGSユアサが大幅なコストダウンに成功し、三菱アウトランダーPHEVの電池価格は4年で半分以下になった。今後登場する電池にも、同じような期待がかかる。また、EV用として使って“クルマを動かすほどのパワーが出せなくなった”電池をほかの用途に用いる、いわば2次利用を図ってコストダウンするという方法もある。

 またEV開発者の間では、モーター内の温度が上昇したときの効率が問題になっている。とくにネオジムとディスプロシウムの使用量を抑えた磁石を使うモーターの場合、磁石の温度が一定以上まで上昇するとモーターの発生トルクが落ちるという。しかし、ネオジムとディスプロシウムをふんだんに使うと、モーターの製造コストが上がる。EVが抱えるコスト問題は、電池だけではないのである。

 (報告/土方細秩子、まとめ/CAR and DRIVER編集部)

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