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三峯神社の何が多くの人々を引き付けるのか

8/14(月) 9:00配信

東洋経済オンライン

 埼玉県秩父市の標高1100メートルの山上にたたずむ三峯(みつみね)神社は、秩父鉄道の終点「三峰口」駅からバスで50分、自動車の場合、関越自動車道の花園インターから、有料道路経由で1時間半ほどかかる。

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 交通の便のよくない山深い神社といえば、一般に寂れているイメージがあるが、三峯神社は若い世代からシニア世代まで、多くの参詣客が訪れている。

 三峯神社の何が、多くの人々を引き付けるのか。現地を取材し、三峯神社権禰宜(ごんねぎ)の山中俊宣(としのり)さんに話を伺った。

■「狼」を神の使いとする信仰

 関越道の花園インターから神社までは、かなりの距離があるが、途中の道の駅には「ダムカレー」や「行者にんにくソフト」などのご当地グルメがあり、西武秩父駅のすぐ隣には、西武グループが運営する日帰り温泉施設「祭の湯」が2017年4月にオープンし、寄り道するのも楽しい。

 林道を除く、三峯神社への唯一のアクセス路である県道278号線は、二瀬ダム(秩父湖)の天端(てんば)の上を通過し、つづら折りの山道となって、三峯神社へと続く。駐車場に降り立つと、下界とは明らかに気温差があり、山の霊気を感じる。

 筆者は、三峯神社を訪れるのは4度目だが、境内には霧がかかっていることが多い。標高を考えれば、霧というより雲の中にいるというのが正しいのかもしれないが、まさに“神秘的”な雰囲気に包まれている。

 神社に伝わる由緒によれば、三峯神社は、日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征の折、イザナギ、イザナミの2柱の神をこの山にまつったのがはじまりとされ、江戸時代以降は、「御眷属(ごけんぞく)信仰」が盛んになった。

 御眷属信仰とは、農作物を荒らす害獣とされた鹿や猪を獲物にする狼(山犬)を“神の使い”とする信仰だ。狼の護符を貸し出し、1年後に返却してもらい、また、新しい護符を貸し出すということが行われてきた。

 狼は、“火”や“見知らぬ人”を見れば吠えることから、“火伏せ”“盗賊除け”にご利益ありとされるようになり、江戸城を含む、江戸の大半を消失した「明暦の大火(1657年)」の際、三峯山の護符が貼られていた家は燃えなかったという話が広まったことなどから、ますます信仰されるようになった。

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