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円キャリー取引はこれから本格化するのか

8/14(月) 6:00配信

東洋経済オンライン

 年初から、新興国通貨の上昇が著しい。米MSCIが算出・公表している26カ国の新興国通貨指数、「MSCI新興国通貨インデックス」は、年初の1507から右肩上がりのトレンドが続いており、8月8日時点で1623まで、約8%上昇した。

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 緩やかな景気拡大と低インフレのゴルディロックス(適温経済)が続くときは、グローバルマネーはリスク資産に向かいやすく、通貨では高金利通貨や新興国通貨が買われやすい。前回ゴルディロックス相場といわれた2004~2007年も、MSCI新興国通貨インデックスは4年間で約40%上昇した。

■新興国通貨高の裏に円キャリー取引

 MSCI新興国通貨インデックスに含まれる新興国通貨について、年初来の通貨別騰落率を見ると、対米ドルでの上昇が著しい。

 ベストパフォーマーはポーランドのズロチで、約16.3%上昇した。ポーランドはユーロ圏ではないものの、ユーロ圏との経済関係が深いことから、通貨ズロチはユーロとの相関性が極めて高い。その一方で、政策金利は1.5%とユーロより高いため、「金利のつくユーロ」として注目を集めている。次に、今年4月に為替レートの対ユーロ上限の撤廃を決めたチェコのコルナ(16.1%)、インフレ加速によって利上げを継続するメキシコペソ(15.8%)、景気が堅調なドイツへの輸出が経済を牽引するハンガリーのフォリント(14.2%)などが高パフォーマーとして続く。

 アジア通貨では、タイバーツや台湾ドル、インドルピーがそれぞれ7%前後の上昇と堅調だ。また、同インデックスには含まれないものの、資源国であり日米欧に比較して金利が高く個人投資家にも人気の高い豪ドルやニュージーランドドルも年初来それぞれ約11%上昇した。

 このように、グローバルにリスクオンの環境となる際には、米投資家のマネーも高金利や通貨高を狙って新興国通貨に向かうため、ドル安が進行しやすい。

 2004~2007年も、米国が利上げ局面にあったにもかかわらず、ドルの名目実効為替レート(BIS Broadベース)は約11%下落した。一方、同じ期間の円の名目実効為替レートをみると、約20%と大幅に下落。低金利の円を調達してこれを売却し、ドルやその他高金利通貨などに投資する、「円キャリー取引」が活発化したことにより、ドル安よりも円安の圧力のほうが強まり、2004~2007年の4年間でドル円相場は1ドル=105円台から123円台まで上昇したのである。

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