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ロールスやベントレーオーナーも一目置いた「三菱の高級車プラウディア(中古価格100万円)」の面白さ

8/14(月) 8:50配信

週刊SPA!

 腕時計投資家の斉藤由貴生です。

 何年も前から「若者のクルマ離れ」という言葉を見聞きしますが、私は18歳の頃からロールスロイスを買ったりと、「若者のクルマ離れ」にはまったく当てはまりませんでした。なぜクルマ離れにならなかったかというと、良質な中古車がたくさん安価で売られていたからです。

⇒【写真】三菱自動車の4世代目の高級車(初代プラウディア)

 中古車だからこそ選べる、面白みのあるレアカーは多々あります。例えば、トヨタのWill Viやオリジン、日産のフィガロやパオやラシーンが有名どころでしょう。しかし、それらパイクカー(レトロ調などデザインが特徴的なクルマ)のように、初めから面白さを意識したクルマとは異なり、“結果的に面白いクルマとなってしまったレア車”が存在します。それが、かつて三菱が生産していた高級車「プラウディア」です。

 今となっては、高級車を作るメーカーはトヨタ(レクサス)、日産、ホンダの3社に限られますが、かつては三菱やマツダも高級車をラインナップしていました。余談ですが、全長5mクラスのFセグメントにカテゴライズされる高級車は、現在レクサスLSのみです。

 2000年にデボネアの後継として発売されたプラウディアは、まさにこのFセグメントの高級車。搭載するエンジンは3.5リッターV6と4.5リッターV8。これらは一時、三菱が推していたGDI(ガソリン・ダイレクト・インジェクション)仕様のエンジンです。

 GDIのV8エンジンを新規開発するほど気合いが入ったこのプラウディア。しかし、その気合いとは裏腹に、生産された台数はたった1200台しかなく、生産期間もたった1年半です。

 1992年に登場した3代目デボネアが1999年まで生産されたことから考えて、プラウディアも5年以上は生産される予定だったと思います。しかし、当時の三菱には経営的な事情があったため、たった1年半でプラウディアを生産中止にすることになったのです。

 ちなみに、三菱が高級車を手がけたのは1964年のことですが、その際に登場した初代デボネアは1986年まで長期に渡り継続生産され、「シーラカンス」というあだ名で知られています。

 1986年に2代目にモデルチェンジされたのですが、なぜそのタイミングでモデルチェンジされたかというと韓国の現代自動車から高級車開発を依頼されたから。この2代目デボネアから三菱と現代の関係が始まり、それはプラウディアにまで引き継がれています。プラウディアの場合、高級になればなるほど韓国製の部品が増えるという傾向があり、約500万円で売られていたV6エンジン車では約30%の部品が韓国製、999万円で売られていたV8のディグニティの場合、なんと85%が韓国製の部品なのです。

 そんな歴史を持つプラウディアですが、2000年に登場した当時からメディアなどで紹介されることがあまりなく、一体どんなクルマなのか想像がつく人はあまりいないと思います。数値だけ見ると全長5m、約2トンという、トヨタ・センチュリーもびっくりな重量級ボディのプラウディア。これだけ大きなクルマにもかかわらず駆動方式はFF(前輪駆動)で、かなり変なクルマという印象です。

 現在、同じ時代に作られたセルシオに乗っている私ですが、実は以前プラウディアのV6モデルに約8年間乗っていました。そんな私のプラウディアの評価は、一言で言えば「味のあるクルマ」。実際に運転してみて、プラウディアはショーファードリブン(運転手に運転してもらい後席に乗る高級車)を意識してつくられたクルマだと感じました。

 プラウディアの前身であるデボネアには、オーナーが運転することを意識してつくられた「エクシード」とショーファードリブンの「エグゼクティブ」が用意されていました。プラウディアは形だけ見ると、そのスタイリッシュさからオーナーが自ら運転するクルマに見えますが、実は運転手に運転してもらうことに重きが置かれているクルマです。

 そのため出足はとても遅く、信号が青になってから普通にアクセルを踏んでいると周りのクルマにおいていかれるほど。エンジンを3000回転回しても、まったく加速してくれないのです。その一方で、雑にアクセルとブレーキをコントロールしても同席者が酔わないぐらいクルマは快適に動きます。また室内の静粛性は、当時世界一と言われたセルシオと同等レベルです。

 これだけ見ると運転がつまらなさそうなクルマですが、実は目立ったダメな点はその出足の遅さぐらい。FFゆえに、高速ではセルシオよりかなり上の安定した走りで楽ですし、首都高速のコーナーも意外とストレスなく走れました。ただし急加速したい場合は、やはりパワー不足を感じました。

 ちなみに私は8年間で、10万km以上乗りましたが、その間、故障した箇所はありませんでした。とはいえ、当時プラウディアのATは弱いと言われ、実際PからRやDにする際、そのデリケートさが伝わってきました」そのため、三菱ディーラーに1年に1度点検に出していたため、年間整備費は約10万円もかかっていました。今考えてみると過剰整備だったかもしれません。

 それに比べるとクラウンやセルシオなどのトヨタ車は、まったく壊れる気配がなく、実際ほぼ無整備状態でも壊れないため、プラウディアよりストレスが少ない印象があります。

 今乗っているセルシオと比較すると、クルマとしての出来はセルシオにはとうてい及びません。木目調パネルや塗装品質などの高級感が特に違います。ただ、欠点があってもプラウディアには「味」があり、乗っていて満足するクルマであることは確かです。

 10年ほど前にヴィンテージのロールスロイスやベントレーを持っている人の会合にプラウディアで行った際、WOベントレーやシルバークラウドなど、世間的にはプラウディアよりレアで高級なクルマを持っている人たちが、プラウディアをかなり珍しがり、ロールスロイスオーナーたちが周りを囲んだほどです。

 そんなプラウディアですが、現在は程度のいいモノが100万円以下で売られています。同じ時代のセルシオより数が少なく、目立つ要素も多いため、中古車価格はセルシオより高めですが、それでも新車の軽自動車より安く買うことができます。このプラウディアを100万円で買うという選択肢は、まさに中古でクルマを買う醍醐味だと言えるでしょう。

【斉藤由貴生(さいとう・ゆきを)】

1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」(http://www.udedokeitoushi.com/)で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢することのプロフェッショナルとして、「腕時計投資」を推奨している。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と、新刊の『もう新品は買うな!』がある

日刊SPA!

最終更新:8/14(月) 10:57
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