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演技や衣装は大人顔負け 子ども版ポールスポーツの世界

8/14(月) 12:00配信

日経トレンディネット

 ポールダンスから派生して進化し、今では五輪種目入りを目指す競技となった「ポールスポーツ」。ステージの天井と床に固定した高さ4mのポールを軸に、宙でくるくる回ったり、180度開いた両脚が一直線になるようにポールと平行あるいは垂直に伸ばしたり。ときには、開いた脚の足首ともう片方の足裏だけをポールに密着させ、体幹はポールに垂直になるように立つ――。こんな離れワザも次々に繰り出す。国際ポール・スポーツ連盟によって規定されたルールの下、体の柔軟さや力強さといった身体能力と演技の美しさ、芸術性を、さまざまな動きの表現で競い合うのだ。

【関連画像】ノービス(10~14歳)部門に出場した小西鹿乃さんの演技

 今回は、まず競技ルールの概要を紹介する。そして、近年テレビ出演などを機に知られるようになった「キッズポール」、すなわち子どものポールスポーツに注目したい。本記事に掲載する写真は、2017年4月に大阪で開催された第4回全日本ポール・スポーツ選手権大会2017での競技を撮影した中から、10~17歳の選手の演技で目を引くものを選んだ。

※本記事は、ポールダンスから派生し、2012年、世界基準の統一ルールを持つ採点競技として確立した「ポールスポーツ」に注目するシリーズの第2回。「ポールダンスを五輪種目に!? スポーツ化で普及目指す」の続きです。ぜひあわせてご覧ください。

ポールスポーツの競技ルールをざっくり押さえておこう

 子ども向けのキッズポールといっても、基本的なルールや用いる衣装などの決まりは大人のポールスポーツと変わりない。

 ポールスポーツは、ステージ上に3mの間隔で設置された2本のポールを両方使う。ポールの高さは4m、直径は45㎜。観客から向かって左側が固定ポール、右側が回転ポールだ。回転ポールはポール自体がくるくる回る。それぞれのポールの特性に合った技があり、両方のポールをバランスよく使わないと減点対象となる。「総合的な技術を持って踊れる人でないと点数は伸びていかない」(日本ポール・スポーツ協会の岡本雅世理事長)という採点システムになっている。

 国内大会はアマチュア部門とエリート部門に分かれる。文字通り、アマチュア部門は趣味に近く、規定も緩い。世界大会に日本代表選手として出場できるのはエリート部門の上位入賞者だ。種目は男女別のシングルスと、男女混合も含むダブルスがある。

 エリート部門のシングルスは、年齢の低いほうからノービス(10~14歳)、ジュニア(15~17歳)、シニア(18~39歳)、マスターズ40+(40~49歳)、マスターズ50+(50歳以上)に分かれる。エリート部門への参加資格は10歳以上だが、アマチュア部門には6歳から参加できる。年齢層の間口は広いが、「特に子どもと男性の競技者はまだまだ少ない」(岡本氏)のが現状だ。

 演技は技術、芸術性、必須の技の完成度などで得点を競う。必須の技は各カテゴリーで決められた数を約280項目のなかから事前に選択し、順序と併せて申告しておく。すべての技には難易度が数値化されており、基準を満たせば加点、基準以下なら減点だ。さらに、動きの柔軟性(脚、背中、肩)や力強さ(腕、体幹、脚)、スピン、ポールの移動、ポールへの上り方などにも採点が加わる。

 審査項目は細分化され、世界基準の統一ルールに基づく。スポーツ競技として「技術の良し悪しがしっかり評価されるシステム」(岡本理事長)になっているのだ。逆にいうと、そうした細かい採点規定をすべての項目で熟知した指導者でなければ、勝てる選手は育てられない。

 観客席で各選手の演技を見ていると、素人目にも上手下手がなんとなく分かってくる。演技にキレがある選手は、ポールに上るときから“魅せる”動きを印象づける。一方、ただの木登りのように無表情で上る人もいる。また、舞台の袖からステージ中央に出るときは、つま先立ちでスッスッと脚を運んだほうが緊張感があって美しい。

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