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社長が「自伝」を贈ってくる会社はヤバい

8/16(水) 15:11配信

日経BizGate

すでに挑戦を終えた証拠?

 会社の本質というものをこの目で見ることはできませんが、可視化された事象をつぶさに確認していけば、そこから優れた企業かどうかを見極めるヒントを得ることができます。今回は、わかりやすい「ダメ会社を見分ける法則」をご紹介していきましょう。

 法則の1つ目は、「社長の自伝本を見たら、その会社は伸びないと考える」というもの。もしも皆さんが取引先などの社長から自伝本をプレゼントされたら、そこから危険信号を察知しなくてはなりません。

 もともと社長になるほどの人は、自分の思想を人に伝えたいという思いが強いものです。企業経営とは、従業員を鼓舞してモチベーションを高め、多くのお客様を獲得して社会に何らかの価値をもたらすものであり、経営者が自らの思想を実践する場であるということもできるでしょう。ですから、社長が自分の考えを一般に広く知らせたいと思うことも、不自然ではありません。

 しかし、自伝を出すということはその社長がすでに確定した評価に満足していることを示唆しています。「目標に到達した」という感覚を持っていなければ、物語は完結しないでしょう。つまり自伝を書ける人というのは、すでに挑戦を終えており、企業を牽引していくだけのモチベーションを維持できなくなっているおそれがあると考えられます。また、自伝を書く時間があるなら、もっと企業の成長のためにできることがあるのではないかという疑問も浮かびます。

 喜んで自伝をプレゼントして回っているとすれば、「経営者として事業に対するプライオリティが下がっているのではないか」と考えざるを得ません。

 最近は企業経営者に「社長の自伝を本にしましょう」ともちかけて自費出版させるビジネスがあり、中には上乗せ料金で漫画化までしてくれるケースもあります。こうした話に乗って、過去の苦労や成功のヒストリーを喜々として語るような社長の会社には、私はあまり投資したくありません。

 ちなみに、同じ視点でいえば、現役の社長の銅像が置いてあるような会社も「社長が自分の実績に満足していて、成長意欲が低いことの表れではないか」と警戒したほうがいいでしょう。

 なお、この法則は、企業経営者の本をすべて否定するものではありません。たとえば、有名な社長の場合、経済評論家やジャーナリストなどによって評伝が出版されることは少なくありませんが、これらはこの法則にはまったく当てはまりません。また、本人が書いたものであっても哲学を説くものや自社のメッセージ、経営理念を広めるための内容であるなど、未来志向の本ならこの法則からは外れると考えてください。

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最終更新:8/17(木) 10:32
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