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そのストレスは、ある日突然、“死因”に変わる? --- 尾藤 克之

8/18(金) 16:19配信

アゴラ

厚労省によれば、2016年に自殺した人は、21,897人となり、22年ぶりに22,000人を下回った。年代別で見ると、15~39歳の死因第1位は「自殺」である。従来から、若者の自殺率の高さは指摘されていた。しかし、調査結果からは、若者の自殺以外に、中高年(40~50代男性)の自殺も顕著であることがわかった。

NHKスペシャルシリーズ「キラーストレス」(http://www.nhk.or.jp/special/stress/)という番組がある。知らないうちに、私たちの心と体をむしばむストレスを“キラーストレス”と名付け、メカニズムを最先端の知見で明らかにしていく内容だ。今回は、効果が実証されている「コーピング(ストレス対処)」について紹介したい。

心の病につながるストレスとは

大手家電メーカーのお客様相談室クレーム対応係だった堀北祐司(以下、堀北氏)が、ストレスによる、うつ病を発症したのは29歳のときだった。お客様相談室でトラブル処理を担当する「クレーム対応係」として仕事をこなしていた。クレームの電話は絶え間なく、そして次々に襲いかかってきた。

「責任者を呼べ!」「おい、これ不良品じゃないのか!」「お前の声が気にくわないんだよ!」「ふざけるな!」。時には何時間にもわたって罵倒され続けたこともあった。クレーム対応係は極めてハードな仕事だ。そして、かなりの適性が求められる仕事でもある。そんな仕事を4年間続けた頃、体に異変があらわれた。

「会社に向かう途中で、急にお腹が痛くなるんですよね。脇腹を手でつかみながら会社に行っていました。やがて、ぐっすりと眠ることができなくなりました。夜中に何度も何度も目が覚めます。睡眠不足のせいか、日中もうわの空で過ごす時間が増えました。気づいたら笑えなくなっている自分がいました。」(堀北氏)

「メンタルクリニックを受診してみると、『うつ病』の診断でした。精神科や心療内科の病院に心当たりもなくて、電話帳で探しました。まわりの人からは、『ノイローゼになったんか?』とか 言われましたね。まだまだうつ病が身近じゃない時代でした。」(同)
※ノイローゼ(神経症)は昔の疾患名で今ではほとんど使われていない。

厚生労によれば、働く人の6割が強いストレスに悩まされている結果が明らかになっている。メンタルの労災と認定された人の数は、この10年間で激増し、WHOは、「2030年に、うつ病が世界で最も社会的損失を生み出す病気になるだろう」と警告している。私たちは誰でもこの病を発症するリスクを抱えている。

早稲田大学の熊野宏昭教授によれば、心や体に影響を及ぼすストレスは、大きく2種類に分けられるとしている。「頑張るストレス」「我慢するストレス」である。特に、「我慢するストレス」は主に人間関係や心理的圧迫によって引き起こされる。このストレスは、心の病につながることから一層の注意が必要とされている。

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最終更新:8/18(金) 16:19
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