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内海は終わったのか? “強い巨人のエース”に期待したい前例のない野球人生【死亡遊戯コラム】

8/18(金) 11:30配信

ベースボールチャンネル

 読売ジャイアンツの内海哲也投手は17日、東京ヤクルトスワローズ戦に先発するも2回途中4失点でKOされ、6敗目を喫した。プロ14年目の左腕にとって、今季最短での降板となった。

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■強い巨人の大黒柱だった内海

 プロ野球選手は厳しい職業だ。

 最近の内海哲也を見ているとそう痛感する。過去にどれだけ実績を残そうが、今シーズン結果が出ないとこれまで活躍を報じていたマスコミから叩かれ、拍手を送ってくれたファンからはブーイングを浴びてしまう。「過去」じゃなく「今」がすべてだ。

 一般企業で35歳といったら働き盛り。それなりの経験を積み、社会人になりたての20代の恐ろしく無力で金欠だった頃も過ぎ去り、ある意味人生の全盛期とも言えるだろう。
だが、若い頃から活躍していたプロ野球選手はキャリアの岐路に立つ年齢でもある。

 ここ10年の巨人は阿部慎之助と内海哲也のチームだった。

 暗黒期と呼ばれた04年の堀内政権時にデビューし、時に原監督からしった激励を受けつつ、一歩ずつ着実に階段を登った背番号26。ジャイアンツ球場での丁寧なファンサービス、同僚への気遣いの素晴らしさは誰もが知るところだ。

 11年に18勝、12年に15勝と2年連続の最多勝獲得。そして防御率1点台とエースの座を確固たるものにすると、セ・パ交流戦と日本ハムと対戦した日本シリーズで立て続けにMVP受賞。当時30歳、まさに内海は強い巨人の大黒柱としてチームをけん引した。

 それが14年7勝、15年はわずか2勝、昨季は9勝と持ち直したかに思えたが、今季は11試合に先発して2勝6敗、防御率5.74。全盛期より半減したとは言え推定年俸2億円の投手としてはあまりに寂しい数字が並んでいる。

 17日のヤクルト戦(神宮)でも2回途中4失点で早々にKO。もはや三本柱に次ぐ先発4番手どころかローテの谷間すら務まっていないのが現状だ。


■野手とは対照、世代交代進む巨人の投手陣

 この数年でチーム状況も大きく変わった。世代交代が進まない野手陣とは対照的に投手陣では27歳の菅野智之という絶対的エースが定着し、内海の13歳下で95年生まれの田口麗斗がすでに2年連続2桁勝利を挙げて若き左のエースとして台頭。気が付けば、内海もプロ14年目の生え抜き投手最年長だ。

 過去にも斎藤雅樹や槙原寛己が35歳前後で急激に成績を落とし、晩年はリリーフ起用も増え引退していった。

 ある巨人OBと話した際に「勤続疲労の山口鉄也の代わりに、あの重圧の中で投げられる左のリリーフは内海だと思う」という意見を聞いたことがあるが、果たして今後どのような起用法になるのだろうか?

 一昔前の球界はエースはエースでいられなくなったら現役引退が既定路線だった。だが近年は本人が納得いくまで続けることが許される。例えば三浦大輔(DeNA)は40代になっても年間15試合ほど先発してチームの精神的支柱に。西口文也(西武)は12年に5勝を挙げたあと13年から3シーズンに渡り未勝利でも現役生活にこだわった。

 横浜に三浦が、西武に西口がいたように、巨人には長い時間をファンとワリカンしてきた内海がいる。

 ヤクルトの石川雅規や阪神の能見篤史にしても、そういう選手はチームの宝だ。宝だからこそ、昨夜のように滅多打ちを食らう背番号26の不様な姿は見るに堪えない。

 ちなみに三浦大輔は35歳の09年に11勝を挙げるも、翌10年は3勝8敗、防御率7.23と成績を落とし、幾度となく「もう終わった」と囁かれたが、30代後半の翌年から計34勝を積み上げた。


■前例ない野球人生、生涯巨人への期待

 内海はもう終わったのか? それはまだ分からない。

 ただ、個人的にこれからの内海に期待していることがある。

 入団した頃の先輩、桑田真澄、上原浩治、高橋尚成らはキャリアの途中でアメリカへと渡って行ったし、ともに戦った同世代の木佐貫洋、久保裕也、東野峻、真田裕貴といった面々も他球団へ移籍した。

 21世紀に10年以上に渡り東京ドームで投げ続けているのは内海だけだ。つまり、巨人には生え抜き投手が参考にすべき野球人生のモデルケースがない。後輩たちにとって背番号26のキャリアが、そのまま新しい道となるだろう。

 だからたとえエースじゃなくなっても、近い将来「コーチ兼任」になろうとも、内海哲也には巨人で現役生活をまっとうしてほしいと願う。


中溝康隆

ベースボールチャンネル編集部