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前代未聞、拿捕の中国船にサメ数千匹、ガラパゴス

8/21(月) 7:20配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

拿捕できたのは偶然

「残念ながら、海では毎日のようにこのようなことが起きています」とサリナス氏。「こんな船が大量にうろついているのです」

 今回の事件は、世界で最も手厚く保護されている海域でさえ違法な漁が行われていて、報告もなく、規制も徹底していない現状を浮き彫りにした。

 中国船を拿捕できたのは偶然だった、とサリナス氏は言う。なんらかの理由で(おそらくミスで)、同船のAIS(自動船舶識別装置)がオンになっていたのだ。AISはすべての船に搭載されているが、違法な活動をしている船は、当然のことながら、これをオフにしている。このミスのおかげで規制当局による追跡が可能だったのだ。

 ガラパゴス国立公園は、旅行先としても科学研究の対象としても確固たる地位を築いているが、生態系の保護に必要なあらゆる設備を備えているわけではない。

「設備には限りがあります」とサリナス氏。「悪人たちは日々金儲けをしていますが、エクアドルのように経済危機にある国にとって、保護区のパトロールにかかる費用は大きな負担なのです」。今回のゴムボート(国立公園に寄付されたものである)が良い例だ。ゴムボートではなく密漁船の取り締まりに適した高速船があれば、最初に見つけた時点で捕まえることができただろう(サリナス氏は、公園に2隻の高速船を寄付するためのクラウドファンディングを立ち上げている)。

 逮捕された乗組員は最長3年の禁固刑に処せられる可能性がある。中国は、エクアドル政府の財政資金の60%を貸し付けている最大の債権国だ。アマゾンの熱帯雨林の木材をはじめとする天然資源の保護については、政府は中国に対して弱腰だとする批判の声が上がっている。

 ナショナル ジオグラフィック協会付きエクスプローラーのエンリック・サラ氏は、海洋保護区を設けることで、「エクアドルは、環境保護のビジョンにおいてリーダーシップを見せました」と言う。「今度は法律を施行することにより、その実現を約束しなければなりません」

 8月15日の記者会見で、エクアドルのタルシチオ・グラニーゾ環境大臣は、政府の意気込みをこう語った。「我が国は、保護の対象となっている野生動物の密輸や違法取引を絶対に許しません」

文=Rachael Bale/訳=三枝小夜子

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