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中国人の欲しい物が変わった――アリババ越境ECトップ訪日の理由

8/28(月) 11:31配信

ニューズウィーク日本版

<アリババグループ越境EC部門の総経理にインタビュー。かつてより注目度の落ちた越境ECだが、実は以前を上回るほど活況を呈しており、しかも売れ筋商品に変化が訪れつつあるという>

「我々は(越境ECで)1億人の“新中産層“にアプローチしています。従来の人気商品である粉ミルクや紙おむつだけではなく、美容機器や生鮮食品、ワイン、ペットフードなど新たなジャンルを新中産層が求める“消費昇級“が起きているからです」

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これはアリババグループの越境EC部門であるTモールグローバル(天猫国際)の劉鵬総経理の言葉だ。8月3日、富士ソフトアキバプラザ(東京・秋葉原)のアキバホールで開催された「アジア美容機器パートナーシップ」調印式のために訪日した劉氏に独占インタビューを行った。

越境ECは2015年から2016年にかけ、ポスト爆買いとして注目を集めた。「オムツ買い占め」や「12の神薬」(中国人に人気の高い日本の医薬品)などの記事が日本のメディアを騒がせたことを覚えている人もいるのではないか。

2016年初頭の政策変更により売り上げが急落したため、日本では一時期ほどの注目度はなくなったようだが、実は中国越境EC業界は以前を上回るほどの活況を呈している。しかも、売れ筋商品にも変化が生まれつつあり、例えばTモールグローバルにおける美容機器の売り上げは前年比6.4倍という爆発的な成長を示したという。

冒頭で劉総経理が語った「新中産層」「消費昇級」は近年、中国ビジネスではキーとなっているコンセプトだ。

新中産層とは現在、30代以下で大都市に住むサラリーマン層をイメージした言葉。親の援助もあってすでにマイホームを所持しており可処分所得が高い。また、ブランド品など自分のステータスを誇るような“メンツ消費“にはこだわらず、個性的で健康的、エコな商品を求める傾向が強いという。そのようなニーズに合わせて消費の質が上がっていくことを消費昇級(消費アップグレード)と呼ぶ。

新中産層は海外商品に対する注目度が高く、越境ECの主戦場になっているというわけだ。

中国越境ECの歴史:「海淘」「代購」から制度変更の混乱まで

さて、ここでまず簡単に越境ECの歴史を振り返っておこう。越境ECとはもともとは「国境を越えた電子商取引」の意。平たく言えば、海外の物がお取り寄せできるネットショッピングである。

とはいっても、実は中国における「国境を越えた電子商取引」もいくつかのカテゴリに分かれる。2000年代前半から始まったのが「海淘」と「代購」だ。

海淘とは、アマゾンやeBayなど海外のECサイトで購入し中国に郵送してもらうという手法だ。転送代行サービス(顧客の代わりに現地国で荷物を受け取り、その後国際便で郵送する)を使うケースもある。

代購とは代理購入の意味で、留学生などを含めた中小零細事業者が顧客の代わりに現地国で購入し国際便で発送するというものだ。

また、アリババグループ旗下の大手ECモール「タオバオ」では海外製品を販売するショップが続々と登場した。特に2008年にメラミン混入粉ミルク事件が起きた後、中国では一気に外国産粉ミルク需要が高まった(日本製の人気も高かったが、2011年の福島第一原発事故に伴う風評被害で需要は一気に激減した)。
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海外製品の人気を受け、越境EC事業者が続々と誕生するなか、2013年に大きな転機が訪れる。それが保税区モデルの登場だ。

中国各地に設けられた保税区は関税上は外国扱いであり、通関手続きを行う必要なく保税区内の倉庫に輸入品を保管することができる。注文を受けた後、保税区から消費者に向けて発送するが、中国国内から送るため納期は短い。また個人輸入にあたるため「行郵税」という安い税率が適用される。

この保税区モデルの登場により、中国の越境ECは爆発的な人気を得た。2015年から2016年前半にかけては特に日本商品の注目が集まり、日本のドラッグストアでおむつや化粧品、医薬品など人気商品を買いあさってはコンテナで中国に送るという、にわか越境EC仕入れ業者が続出した。

ところが、2016年4月に中国政府は越境ECに関する制度変更を発表。1回あたり購入額・年間購入額の制限、ポジティブリストに記載された商品のみの保税区モデル適用、税額の調整などの内容だが、この新政策によって越境EC事業は混乱し、売り上げは大きく減少した。

グーグルが提供する検索回数の指標「グーグルトレンド」で調べたところ、日本での「越境EC」という単語の検索回数は2016年4月をピークにほぼ半減している。爆買いに続くホットトレンドと見られた越境ECだが、その勢いはすっかり失われてしまったかのようだ。

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