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通算1324勝、そして1180敗。加藤一二三氏に聞く「負けパターン」の法則

2017/9/5(火) 12:21配信

BEST TIMES

6月に現役を引退した、将棋界のレジェンド・加藤一二三九段。勝利対局1324、そして敗戦対局1180は歴代1位。あえて聞いてみた「負けパターン」について。

通算1180敗。共通する負けパターンとは? 

 私は62年10ヶ月の現役生活を送ってきました。1324回勝利を収めましたが、まあ負けた数も多いんです(笑)。負けた時の敗因を分析しますと、その多くがあわてて戦ったためによるものです。

 私は、「あわてないで落ち着いて戦え」という言葉を座右の銘にするくらい、あわてないことに注意を払ってきました。

 将棋には持ち時間がありますから、持ち時間を使いすぎて残りわずかとなると、どうしても焦ってしまうんですね。すると、こちらが優勢の状態でも逆転負けしてしまうケースも多いのです。

負けパターンを意識し、中原名人を破った戦略

 あわてないためにはそれなりの対策が必要です。印象深いのは、名人獲得のかかった中原誠名人との一戦ですね。

 名人戦は2日制で持ち時間が9時間。私は、いわゆる「長考型」で長考に長考を重ねるため、必然的に残り時間が切迫しがちです。ですから、私は決断を比較的早くして、持ち時間をなるべく残す作戦で挑みました。当たり前ですが、残り時間がたくさんありますとあわてないで落ち着いて戦えますでしょ。

 しかし、勝負事は一筋縄ではいかないものです。中原名人は戦い方が非常に巧妙な方ですから、持ち時間の9時間のうち、結局残り1分にまでなってしまったんです。

 たくさん時間を使ったことにはなりましたが、この対局では残り1分の中で「勝つ手」を見つけることができまして、名人になることができました。

 結果的に最後時間はギリギリになりましたが、「残り時間を多く残そう」という心構えが成功したと思います。残り1分で勝利の決め手を見つけることができたのは、やはり決断を早くしていたからでしょう。

「負けパターン」という質問ですが、持ち時間が決まっている将棋では長く考えすぎてしまうと後々あわててしまいます。

 こちらがノリにノッて、絶好調のときには残り1分でも決定づける一手がひらめくことはありますが、多くの場合は焦りが負けにつながりやすくなると思いますね。だからこそ、あわてないで落ち着いて戦うことはとても大切です。

明日の第三回の質問は「Q3.“長考派”として知られていますが、「じっくり考えること」のメリットは何ですか?」です。

構成:加藤純平 写真:河野優太

最終更新:2017/9/29(金) 19:27
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