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2日間、7時間の長考の末に…。加藤一二三氏がたどり着いた「勝負手」の奇跡

2017/9/5(火) 22:06配信

BEST TIMES

「なにかいい手はないか」昭和43年12月3日の夜、こんこんと考えはじめた。第七期十段戦の第四局である。そして明くる日、また2時間考えた。そこで見えてきた一手。長考の末つかんだ勝利は、加藤一二三氏に「将棋とは感動できるもの、芸術なのだ」という思いを植え付けた。

第七期十段戦の第四局。“長考”が功を奏した

 長考に関していいますと、長考して大成功を納めたのが、昭和43年12月3日~4日に行われた読売新聞社主催の第七期十段戦の第四局です。

 相手は、大山康晴名人。当時「常勝大山」と言われ、ほとんどのタイトルを独占するほどの強敵です。タイトル戦は基本的に2日制で行われますが、1日目の夜のことでした。我々、対局者は自分の部屋が与えられますから、食事が終わったあとにこんこんと考えたんです。

 ちなみに、我々棋士は「どんな時でも考えている」と言われますが、その考える時というのは将棋の盤と駒は使いません。つまり、タイトル戦にも盤と駒は持って行かないのです。もちろん、盤と駒があった方が能率的であると思われますが、すべて頭の中で考えられるから必要ないですし、プロはそんなことしません。

 話を戻しまして、1日目の夜に私が何を考えたかというと、「どんな手を打てば私が優勢になるのか」ということです。抽象的な局面ですと、考えてもほとんど無駄なのですが、その時の将棋は決戦に突入していましたから、しっかりと考えました。「何かあるはずだ!」とずっと考えていたのですが、なかなか決め手が見つからない。結局、夜の12時くらいになって眠ってしまったんですね。

7時間の長考の末にたどり着いた勝負手

 2日制のときは、翌日の午前9時から対局が再開されます。再開後、盤の前に座って2時間近くまた考えていました。前の日に約5時間、2日目に約2時間、計7時間近く考えていた時に、ついにひらめいたんですよ。

 44銀同金62歩という手ですが、これをひらめいたときには「やった!」と思いましたね。「やっぱり手はあったんだ!」と。その後、私は優勢になって勝負に勝ちました。

 一手に7時間かけて勝つ、私はその経験からあることを悟りました。それが「将棋というものは深い」ということ。その一戦まで将棋に対して「深い」と思う経験はなかったのですが、7時間もの大長考の末に勝利を決定づける決め手を見つけた経験から「将棋というものは深い」と確信したんですね。

 私はいつもこういう風に言います、「将棋というものは楽しくて、面白くて、しかも深い」。将棋というものは指していて、楽しくて面白いだけじゃない。深いのです。私はこのことを胸を張って言えますね。

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最終更新:2017/9/29(金) 19:27
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