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自分の得意な“型”をひとつ持て。加藤一二三氏が「棒銀戦法」を通して教えてくれたこと

2017/9/7(木) 12:06配信

BEST TIMES

銀将を棒のようにまっすぐ進めて攻める「棒銀戦法」。加藤一二三氏が、将棋人生を通してこだわった戦法だ。研究されてもブレずに貫き通す。その信念が、62年10ヵ月にも及ぶ棋士生活を支えた。

敵陣を短期決戦の電撃作戦で突破できる「棒銀戦法」

 銀将を棒のようにまっすぐ進めて攻める棒銀戦法ですが、僕はこの戦法が大好きですね。定番の戦法ですが、私は棒銀戦法にこだわっていますから、「加藤棒銀」や「棒銀の加藤」と言ってもらっています。最近『無敵棒銀』という本を出しました。

 棒銀戦法の長所は、いち早く棒銀が前線に出動し、敵陣を短期決戦の電撃作戦で突破できる点です。私は、この棒銀戦法が理想的な形で決まり、今までたくさん勝利を収めてきています。

 最初の成功例は21歳の時。NHK杯の戦いでした。余談ですが、今でこそNHK杯戦はテレビ中継されていますが、私が戦った昭和36年当時はラジオ対局だったのです。このときの相手は大山康晴名人、決勝戦でした。この戦いでは見事に棒銀戦法で勝ち、優勝しました。

 以来、今に至るまで棒銀戦法でたくさん指してきましたが、昭和36年のNHKの決勝が一番大きな成功だと思います。

将棋界に「棒銀党」は3人だけ

 棒銀戦法は非常に効果的な戦法ですが、実際に使うトップ棋士はそんなに多くはありません。私の他に飯塚祐紀七段と高野秀行六段だけ。将棋界に「棒銀党」は3人しかいないんです。

 やはりプロの世界ですからみなさん好き嫌いがありますが、私は長年棒銀で戦ってきました。引退した今でも、棒銀戦法は非常に効果的な作戦だと思っています。

 しかしですね、棒銀戦法を長年やっていると、当然研究されます。羽生善治三冠は、著書のなかで「棒銀は若手棋士たちの間で研究材料になっている」と。

 私が棒銀戦法で来たら喜ぶそうですね。狙い撃ちにされていたそうですが、実は数年前に棒銀戦法のすばらしい攻め方を見つけました。研究しつくされた棒銀戦法ですが、それを上回る手を発見したのです。この棒銀戦法は引退までこだわっていました。好きな駒も銀将ですし、1982年の第40期名人戦で中原誠名人と戦って勝ち、念願の名人になったのも「3一銀」でした。

明日の第六回の質問は「Q6.棒銀戦法のメリットや「型」を持つことのメリットは?」です。

構成:加藤純平 写真:河野優太

最終更新:2017/9/29(金) 19:27
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