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藤井四段に加藤一二三氏エール「将棋も人生も勝負は負けた地点から始まり」

9/10(日) 9:00配信

BEST TIMES

“62歳差”が話題を読んだ、加藤一二三九段と藤井四段の対局。その後、加藤氏は29連勝の棋譜を全て研究したという。将棋界のレジェンドをして「欠点が一つもない」という評価だ。連勝が途切れても下を向くことはない。長い棋士人生はまだ始まったばかりだ。

加藤一二三氏をして「欠点が一つもない」

 藤井さんは研究熱心な頭脳派。藤井さんとの対局では、私の不得手とする作戦をとられました。また、豊島将之九段も藤井さんと戦いましたが、同じ「自分の不得手な作戦ばかりやられた」とおっしゃっていましたね。

 藤井さんは私に勝利したあと29連勝しましたが、私はその棋譜を研究しました。藤井さんはスピーディーな攻めが特徴ですね。早く攻めて見事な勝ちっぷりを見せている。

 ときたまですね、危うくなる局面はありますよ。受け身の局面もありますが、それもしっかりと巧みに受け切って勝っています。一言でいうと「欠点が一つもない」。

 私がテレビに出演しますと、司会の方から「加藤九段、もう一度藤井さんと戦ったら勝算はどれくらいですか?」と聞かれます。今年5月に出演したNHKの「あさイチ」でそう聞かれたとき、私は「80%」と答えました。

 しかしですね、次第に70%、60%と下がっていくんですね。最近もよく聞かれますが、今は「50%、互角です」と答えています。段々謙虚になっていますね(笑)。

 勝率が下がっていくのには理由がありましてね。最初80%と言ったのは、私が棒銀戦法とともに得意とする矢倉で攻めれば80%は勝てるだろうと、そう思っていたんです。ところが、よくよく考えてみたら相手にいろいろな手を打ってくる可能性はありますし、かわされる可能性もある。

 私は矢倉の戦法で正面衝突でやってきた人間ですけど、藤井さんの対応力の高さに気づいてからはぐっと自信がなくなってきました(笑)。

 藤井さんは30連勝がかかった対局で負けてしまいましたが、将棋も人生も勝負は負けた地点から始まります。藤井さんの実力は本物ですし、長い棋士人生は始まったばかりです。

 心に感動を与える将棋を続けてほしいですね。私の引退に際して、「寂しい」と言っていただけたそうですが、ありがたいですね、私はすばらしい後継者を得たと思っています。

明日の第十回の質問は「キリスト教徒になった理由をおきかせください」です。

構成:加藤純平 写真:河野優太

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