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【英国人の視点】川崎F、充実の快進撃。厚みを増す選手層、魅力的なサッカーに加わった勝負強さ

9/12(火) 10:50配信

フットボールチャンネル

 9月9日、明治安田生命J1リーグ第25節の試合が行われ、川崎フロンターレは横浜F・マリノスに3-0で勝利した。好調同士の上位対決となった一戦で、川崎Fはその攻撃力を存分に発揮。リーグ屈指の堅守を誇るマリノスの守備を打ち破った。これで今シーズン15回目のクリーンシートも達成。ACLも含め悲願のタイトル獲得へ歩みを進めている。(取材・文:ショーン・キャロル)

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●最近17試合で一敗のみ。絶好調維持するフロンターレ

 現在は鹿島アントラーズが2位を6ポイント引き離し、J1首位の座を堅持していると言えるかもしれない。だが川崎フロンターレの最近の戦いぶりを見ていると、大岩剛監督のチームがこのまま首位で走り抜けたいのであればペースを落とす余裕はないと言えそうだ。

 フロンターレは最近6週間にわたって絶好調を維持しており、公式戦9試合連続の無敗。最近17試合で唯一敗れたのは、7月29日のホームでのジュビロ磐田戦、2-5という奇妙な敗戦を喫した試合のみだ。

 鬼木達監督のチームはその結果としてJ1の2位に浮上し、ルヴァンカップでは準決勝に進出。天皇杯でも4回戦へ駒を進め、AFCチャンピオンズリーグでも準決勝進出に王手をかけている。

「オニさんになってから、何をするべきなのかが明確になりました。誰も怠けることはなく、全員で走って攻守の切り替えができています」と中村憲剛は、横浜F・マリノスに勝利を収めた9月9日の試合後に語った。

「もちろん技術やアイディアも大事ですけど、今はとにかくそういう部分がベースにあることが大きいですね」

 確かな基礎があることは間違いないが、現在のフロンターレにとっては技術やアイディアも決して後付の要素などではない。今季は見ていて本当に楽しいサッカーを何度か披露してきた。もちろん中村もその中で、これまで以上に中心的な役割を果たしている。周囲の状況を把握する感覚や、ボールを受けてパスを出す驚異的な能力は、現在のJリーグで並ぶ者がいないほどだ。

 だが中盤での周囲からのサポートも手厚い。大島僚太もラインの間で相手を翻弄する選手の一人として然るべき称賛を集めているが、中央で全てをまとめ上げる存在はエドゥアルド・ネットだ。

 エドゥアルド・ネットの守備面で試合を読む力は図抜けている。チームがボールを持った時にも姿を消すことはなく、チームメートにとって常に選択肢のひとつとなってくれる。

 今シーズンのデータを眺めてみれば、彼があらゆる面でチームのスタイルに欠かせない存在であることが分かる。フロンターレのリーグ戦でのパス交換数上位5組の全てに彼が絡んでおり、トップ10の中でも8組に絡んでいる。

●ベンチにも質の高い選手たち。ゴール量産と同様に際立つ守備力

 今季の川崎の本当に特筆すべき点はその層の厚さであり、ピッチのあらゆる場所からベンチに至るまでクオリティーの高い選手が揃っている。

 ピッチの両端にはチョン・ソンリョンと小林悠というトップレベルの個人が君臨し、エウシーニョや谷口彰悟、車屋紳太郎、家長昭博、阿部浩之といった選手たちも重要な役割を果たしてきた。ベンチにもエドゥアルドや田坂祐介、森谷賢太郎、森本貴幸などが控えており、質の高い交代選手も送り出すことができる状況にある。

「今は誰が出場しても自分たちのサッカーができるようになっていて、良いパフォーマンスを見せて結果を出すことができています」

 マリノスに3-0の勝利を収めた土曜日の試合後に、奈良竜樹はそう話していた。彼もまたチームにとって欠かせない存在となった選手の一人だ。

 だがフロンターレが試合に臨む姿勢は、決して楽しむだけでもなければ無謀なものでもないと奈良は固く主張する。ゴールを量産できていることと同じくらい、シーズン15回目のクリーンシートを達成したという事実も重要であることを強調した。

「(守備陣も)ディフェンス以外の面でも貢献することを考える必要はありますけど、攻撃的なチームだと言われているからといって、失点を気にしないというわけではありません」と奈良は語る。

「後ろが無失点に抑えられれば、それだけ勝利の可能性は高まります。3点取れれば1点取られてもいいとは考えていません。4点や5点取ったとしても、守備では相手に何もさせず失点しないようにしたい。それが今の僕らのスタンスであり考え方です」

●最近9試合では計23ゴール。1試合除いて2得点以上を記録

 水曜日に行われるACL準々決勝2ndレグの浦和レッズ戦でもその姿勢が変わることはないだろう。この試合も無失点に抑えられればフロンターレの準決勝進出は保証される。

「だからといって守備的に戦うというわけではありません。それは僕らのやり方ではないですので。自信はありますよ。1点か2点取れれば相手は5点必要になりますからね」

 フロンターレが最後に無得点に終わった試合は、マリノスとのアウェイゲームに0-2で敗れた6月4日の試合だった。無敗を守っている最近の9試合では計23ゴールを挙げており、FC東京と1-1で引き分けた8月5日の試合を除けば常に1試合2得点以上を記録している。

 直接のライバルに対して快勝を収めた試合もいくつかあった。5月19日にはアウェイで鹿島に3-0の勝利。レッズに対しては7月5日のリーグ戦で4-1、8月23日のACL準々決勝1stレグで3-1の勝利を収めている。先週末には横浜FMを3-0で粉砕してみせた。

「リーグ一の堅守だったマリノスから3点取れたのは、チームとしても個人としても大きな自信になります。自分たちの今やっているサッカーが間違っていないことが分かります」と中村は語る。

「(この日のパフォーマンスは)僕らのプレースタイルが体現されたものだったと思います」

「(浦和との)1stレグの結果は忘れて2ndレグを戦うべき。もちろん試合に意識を集中させる必要はありますけど、大事なのは変わらないこと。アウェイゴールはやっぱり取りに行くべきなので。今の自分たちがやっているスタイルのサッカーを続けていくのがとにかく大事なことだと思います」

 それが実行できたとすれば、水曜日の試合で浦和が川崎を破るのは容易なことではないだろう。今の調子を維持するフロンターレと戦いたいと思うチームはアジア全体でもそう多くはないはずだ。

(取材・文:ショーン・キャロル)

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