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北別府学から藤浪晋太郎へ。「君はここで終わるような投手じゃない」

9/12(火) 8:00配信

webスポルティーバ

 私も現役時代、急に勝てなくなった時期があった。コントロールで勝負するピッチャーなのに、思ったところに投げられない。それまで、自分のチェックポイントというのがあって、右打者のアウトコースに投げるときは背中を意識したり、インコースに投げるときに左肩を打者の方向に向けたりしていたのだが、そのときは自分がどんなフォームで投げているのかわからなかった。

見た感じはそれほど変わっていないのだが、自分のなかではそれまでと一緒という感覚がまるでなかった。おそらく知らず知らずのうちにバランスが崩れていたのだろう。いいときのビデオを何度も見て、今まで以上に走り込み、バランスを養うために遠投も積極的に行なった。それでようやく本来のピッチングを取り戻すことができたのだが、なぜそうなったのか、具体的な答えは今もわからない。

 藤浪投手も二軍でインステップの矯正に取り組んでいたと聞く。たしかにインステップは体に負担がかかるし、決していい投げ方ではない。ただ、藤浪投手はその投げ方で成功してきたわけだし、無理に変える必要はなかったのではないか。先日の広島戦では、以前ほどではないが、ややインステップになっていた。やはり、自分の投げやすいフォームで投げるというのが一番だし、本人が納得したのであればそれでいくべきだと思う。

 巷では「イップスなのでは?」という声もあるが、本当にイップスならあれだけの球は投げられないはずだ。冒頭でも言ったが、ランナーがいないときは本当に素晴らしいボールを投げる。心と体のちょっとしたバランスのズレが、今の状態を引き起こしているのだろう。

 長い野球人生だから、いろいろある。これは誰もが通る道であって、何も特別なことではない。ただ、プロの世界は誰も助けてくれない。とにかく悩んで、自分で解決していくしかない。間違いなく藤浪投手は阪神の大エースになる存在だ。何とかこの試練を乗り越えて、もうひと回り大きな投手になってほしい。ここで終わってしまう投手では絶対にないはずだから……。

スポルティーバ●文 text by Sportiva

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