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「しなやかな地方移住」で選択肢は広がる

9/14(木) 21:11配信

PHP Online 衆知(THE21)

「東京一極集中」は幻想に過ぎない!

「大都市には仕事があるが、地方は仕事がなく暮らしていけない」「大都市=繁栄、地方=衰退」……。いまだに多くの人がそう思い込んでいる。だがそれは大きな誤解であり、むしろ大都市に住み続けることのほうがリスクになるかもしれないと指摘するのは、人気エコノミストの藻谷浩介氏だ。都市と地方の現状と、地方移住の可能性についてうかがった。

「首都圏=若者」「地方=高齢者」のウソ

「たくさんの若者が流入し繁栄する首都圏と、高齢者ばかりが残り衰退する地方」──日本の現状をそうした図式で捉えているならば、今すぐ認識を改めるべきだろう。高齢化の問題が深刻なのは、むしろ首都圏のほうだからだ。
 15歳以上65歳未満の人口のことを「生産年齢人口」という。いわば「現役世代」である。2010年から15年の間に、日本全体では100万人近く人口が減ったにもかかわらず、首都圏一都三県だけは人口が51万人も増えた。増えたうちの42万人は、地方から新たに首都圏に流れ込んだ現役世代だ。これだけみれば、首都圏の一人勝ちと思うのも無理はない。
 しかしこの間、首都圏の生産年齢人口は75万人も減少していたのである。14歳以下の子供の数も7万人減り、65歳以上の高齢者だけが134万人も増えていた。首都圏で年々空き家や空き室が増加しているのも、首都圏本拠の大手スーパーや飲食チェーンの中にも経営不振に陥る例が後を絶たないのも、これが理由だ。
 このようなことが起きた理由は、いわゆる「団塊の世代」がいっせいに65歳以上になったからだ。首都圏在住者だけでもその数実に269万人。高度成長時代に地方から大量に流入してきた方々である。これに対し新たに15歳を超えた首都圏の若者は152万人と、団塊世代の半分少々しかおらず、地方から流入した現役世代を加えても、75万人の減少となってしまったわけだ。
 そもそも首都圏の出生率は、全国でも最低レベル。いくら他地域から現役世代が流入しても、彼らの次世代が育たないので、生産年齢人口は減っていく。他方で流れ込んだ層は、ほとんどが首都圏に残って続々高齢者となっていく。
 高齢者の増加は、医療分野や福祉分野の支出の増大を招き、自治体の財政を逼迫させる。子育て支援に予算を振り向ける余裕がなくなり、出生率は回復しない。これが首都圏の現状である。

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