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規制強化が仮想通貨に打撃

9/19(火) 8:12配信

NRI研究員の時事解説

中国での規制強化が仮想通貨に大きな打撃

当局による規制強化の動きが、足もとの仮想通貨の価格に大きな影響を与えている。中国当局は9月4日、仮想通貨で資金調達を行う「ICO: Initial Coin Offering(新規コイン公開)」を違法行為と判断し、個人や団体に禁止令を出した(本コラム、「岐路に立つICO(新規コイン公開)」、2017年9月11日参照)。さらに8日には中国の主要メディアが、「中国当局はビットコインなどの仮想通貨と人民元との交換業務を行う、国内のすべての取引所を当面閉鎖することを決定した」と報じた。実際14日には、仮想通貨「ビットコイン」を扱う中国の大手取引所「BTCチャイナ」が、9月末から売買を全面停止すると発表し、報道の正しさが裏付けられたのである。さらにその他の取引所大手の「火幣網」と「OKコイン幣行」も、中国の金融監督当局の求めに応じて10月末までに仮想通貨と人民元との取引をやめると15日に発表した。
 
またそうしたタイミングで、米銀大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は12日に、ビットコインを「詐欺」と言い切り、またその価格の高騰は「チューリップバブルよりひどい」と酷評したことも影響して、仮想通貨の価格は大きく調整する結果となったのである。

他国での規制強化の動き

中国当局は、ICOを違法行為と断定し、また仮想通貨の交換所を閉鎖させるという強硬策を決定したが、他国の規制当局も同様の措置を講じる可能性はあるのだろうか。中国規制当局の対応は、中国独自の事情によるところも大きいことは確かであろう。ICOに関わる犯罪行為は、中国で特に顕著であった可能性が考えられる。また、仮想通貨の交換所の閉鎖は、違法な人民元の海外流出の抑制という、中国の為替政策、資本規制と関わる措置である。習近平国家主席は、共産党大会の直前のタイミングを狙って、経済を混乱させかねない仮想通貨への強硬策を打ち出し、政治的なアピールを図ったことも考えられる。

他国では、仮想通貨の交換所閉鎖などといった強硬措置がとられることは考えられない。しかしICOについては、中国と同様に他国の金融当局も相当に警戒感を強めているとみられる。米証券取引委員会(SEC)は7月に、ICOのトークンは一種の証券であり、その販売には証券法が適用されることを確認している。また8月には、ICOに関わる詐欺行為について、投資家に注意を喚起したのである。

さらに英国の金融行動監視機構(FCA:Financial Conduct Authority)は、投資家・消費者保護の観点から、かなり厳しいトーンでICOについて注意喚起を行っている。以下ではその内容を概観してみたい。

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