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今秋発売!レクサスの旗艦、新型LSがベールを脱ぐ。──11年ぶりの新型は「AI」をどう取り入れたか?

2017/9/19(火) 17:11配信

GQ JAPAN

レクサスは6月26日、今秋に発売するフラッグシップ・サルーン、新型LSを本邦初公開した。将来の自動運転を見据えた先進の予防安全運転技術を搭載したニューLSを、清水和夫がリポートする。

【写真】新型LSの車内や自動運転の先進技術の一部を垣間見る!

レクサスのフラッグシップであるLSは、2017年1月に開催されたデトロイトモーターショーですでにワールド・デビューずみだ。今年のデトロイトでは欧州メーカーの大物の発表がなかったので、LSが話題を独り占めにしていた。アメリカで一番売れている乗用車であるトヨタ・カムリの新型もデビューしており、日本人の私は鼻が高かった。

 デトロイトモーターショーの数日前にはラスベガスでCES(Consumer Electronics Show=家電ショー)が開催されている。近年は自動運転やコネクト(繋がる)の先端技術が発表されるショーとして注目の的で、高級車メーカーはここでホットな話題を提供するようになっている。では、このCES2017でトヨタは自動運転やコネクトに関するどんな先進技術を発表したのだろうか? それをつかめば、新型レクサスLSにも関わるキーテクノロジーを探ることができそうだ。

 ということで、私はラスベガスにも足を運んだ。はたして、トヨタは、2016年に同社が設立したAIの研究&開発専門会社「TRI」(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)のギル・プラットCEOに未来の自動運転のコンセプトを発表させたのだが、そのプロモーションビデオが面白かった。

「運転ができなくなった初老の男性が、自動運転によって再びドライブの歓びを手に入れる」というのがあらすじで、これがプラットCEOのいうショーファードリブン(お抱え運転手さん)のコンセプトである。

 完全自動運転の実用化を待つまでもなく、AIが走行状態や運転環境をつねに見張っていて、いざとなると、警告したり、アシストしたりしてくれる。これがレクサスいうところの「ガーディアン」(AI=守護者)のコンセプトだ。運転手とガーディアンとのセットがトヨタ(レクサス)の自動運転に対する基本的な考えなのである。

 今秋に発売される5代目レクサスLSは、レクサス・ブランドだけでなく、企業としてのトヨタにとっても、自動運転に資する基本技術の実用化の先兵となる。それだけに、6月26日に東京で行われたLSの発表会はいつもとは様相が異なっていた。メディアと質疑応答する時間がたっぷり用意され、充実した対話が行われたのである。

 チーフエンジニアの旭利夫氏が説明したLSの概要のなかで、もっとも興味をひいたのが高度運転支援だった。旭氏はレクサスでは異色の電子制御部門出身のチーフエンジニアで、先代LSの電子制御の開発を担当していた。今回発表された5代目のLSでは高度な運転支援とコネクト・システムだけでなく、エンジン、シャシーのハイテク化も図られている。デジタル・エンジニアリングは現代の自動車づくりにおいて非常に重要なのだ。もはや、クルマの完成度はハードウェアよりもソフトウェアの成熟度にかかっていると言っても過言ではない。

■はじめての専用プラットフォーム
4代目LSの発売は2006年なので、5代目の登場までに10年以上の時間がたっている。その間なにがレクサス内部で起きていたのか。

 リーマンショックによる金融危機など外的な要因もあったが、もっとも時間を費やしたのはプラットフォームだった。4代目まではトヨタのFRプラットフォーム(クラウン)を改良して使っていたが、それではこれからの世界で戦えないことは明らかだった。彼らは専用プラットフォームを本気で開発していたのだ。

 少し前の今年3月に発売になったLC、すなわちレクサスの大型高級クーペと、今回のLSはGA-L(グローバル・アーキテクチャー・ラグジュアリー)という新しいプラットフォームを共用している。このGA-Lは長い時間をかけて、LCのチーフエンジニアの佐藤恒治氏が兼任で開発を進めてきたものだ。ソフトウェアを成熟させるのは重要だが、ハードウェアがおざなりでよいはずはないからだ。

 電脳化と知能化がこれからの高級車に必要な課題であることはテスラ・モデルSが富裕層の気持ちをゲットしたことで証明されている。レクサスとしても、新興の電気自動車メーカーに負けるわけにはいかない。LSに搭載される予防安全の技術は、従来のプリクラッシュセーフティシステムをさらに進化させ、初歩的な自動操舵も可能としている。自車線内に限って、ステアリングを自動的に補正操舵する機能をもっているのだ。

 さらにこの機能は、自動緊急ブレーキ・システムと連携している。カメラで歩行者を認識すると、カラーヘッドアップディスプレイ(HUD)でドライバーに警報を鳴らし、ブレーキだけでは避けられないと判断した場合、自車線内に限ってステアリングでも衝突回避するシステムが与えられている。LSはまた、日本車としては初めての、ウィンカーによる自動車線変更システムを持つ。

 内容を聞くだけで自動運転の夜明けだと思われるが、トヨタで「安全」の責任者をつとめている伊勢清貴氏は、新型LSの発表会で「自動運転」という言葉をあえて使っていない。システムが自動運転的な機能を持っていても、現行の道路交通法では事故の責任主体はドライバーなので、LSのシステムについても「ドライバーを支援する」ものとして開発されているからだ。

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最終更新:2017/9/19(火) 21:33
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