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アロンソ本人が試乗!ホンダ・シビックタイプRの二面性に迫る

2017/9/20(水) 19:14配信

エスクァイア

 ホットハッチは、成熟期に入る直前の様相を呈している。かつては不要なスポイラーや野暮ったい駐車の様子、迫力に欠けるエンジンと、フーリガンハッチとも揶揄されてきたホットハッチだが、このタイプのマーケットではますます競争が激化している。

【ニュルブルクリンクを走るホンダ・シビックタイプRの動画】

 こういったクルマの特徴は、ジキルとハイドのような二面性だ。ホイールスピンができるほどのトルクを秘めながらも、ちょっとした買い物にも使えるホットハッチは、映画『キャノンボール』のようなパワフルな走りと日常使いできる利便性を併せ持っている。

 このようなホットハッチの最先端にあるのが、ホンダの新型「シビックタイプR」だ。エスクァイア編集部では、マクラーレン・ホンダのF1ドライバー、フェルナンド・アロンソとともに、英国バークシャーの厄介なストリートで新型タイプRのテスト走行を敢行。この自動車で進化を遂げたホットハッチの二面性に迫った。

アロンソのプライベート・ドライビング

 タイプRは、新時代のホットハッチの王者を謳うモデルであり、確かにその名に相応しいと言えるかもしれない。このクルマは、競合車に劣らないアグレッシブなアクセサリーやエアロパーツを備えながらもスマートな印象をキープしている。また、十分な迫力を感じさせながらも、周囲の迷惑になるほどではないエンジンも素晴らしい。今回のテスト走行は、ハラハラするようなものになる可能性を懸念していたが、実際はまったくそんなことはなく、アロンソは運転免許試験のような安全運転を見せてくれた。

 「アドレナリンが全開になるのはサーキットを走るときだけで、普段はとても落ち着いた運転をするんです。みんなの期待には沿わないかもしれませんが、私が運転するクルマに乗った人は、あまりにゆっくり運転するのでがっかりするのが普通です」と、アロンソは外側車線を追い越していく年配カップルの自動車を横目に話した。

 しかし、これはテストが目的の編集部としては願ったり叶ったりだ。なぜなら、こういった低速時の快適な走行こそ、前モデルのホンダ・シビックタイプRを含めた多くのホットハッチの課題だからだ。「とても快適です」とアロンソは話す。「ちょっとかたい印象でスムーズさに欠けたこれまでのタイプRと比べれば、今回のモデルは日常生活にも使いやすいように感じられます。申し分のないスポーツカーでありながら、快適なドライブもできるんです」(アロンソ)

 アロンソの言うとおり、以前のタイプRには、刺々しく、ガタつく感じがあったが、今回のモデルは普段の彼のように穏やかだ。アロンソはサーキットを走るとき(「自動車に飛び乗り、ヘルメットを付け、自分一人の環境になったとき」と彼は言う)や、自由な時間にサイクリングをするときがもっともリラックスできるという。

 「子供の頃は父とよくドライブして、アウトドアを楽しんだものです。この10年から15年は一人で、または友達とよくサイクリングに出かけました」。そう話す彼は、F1を引退後に自転車に真剣に取り組むことについては否定した。「F1をやめるときには、もっと自由な時間が欲しいんです」(アロンソ)

ニュルブルクリンクでの記録

 この自動車のキャビンは、美しいディスプレイやクールなバケットシートを備え、スポーツカーらしくもリラックスできる絶妙なバランスを保っている。また、コンフォートモードからスポーツモード、またはR+モード(サーキット走行を意識したモード)に切り替えれば、このクルマの個性は劇的な変化を見せる。

 新型タイプRの秘めたポテンシャルの一つの指標になるのは、名高いニュルブルクリンクにおいて、前輪駆動の自動車としての最速タイムを叩き出したことだ。アロンソは現在もスピードテストのベンチマークに利用されるニュルブルクリンクについて、「安全な環境で自動車の限界を引き出すことができる唯一の場所です」と語る。

 タイプRが搭載する2.0リッター316馬力のターボチャージエンジンは比較的控えめなものだが、このクルマが最速タイムを記録したということは、空力性能やサスペンションの改良に大きな力が入れられたことを示すものだろう。

 テスト走行中、奇妙なことがあった。二頭の馬がコーナーの先に現れ、道を塞いだのだ。予想外のブレーキテストとしてはよかったと言えるかもしれない。アロンソは二頭にぶつかることなくその間を難なく走り抜けた。F1ワールドチャンピオンの本領発揮と言ったところだろう。

 タイプRはテスト開始からその加速性能を十分に感じさせてくれた。マニュアルの魅力を感じられる変速装置の使い勝手は抜群であった。アクセル全開で時速100kmまで5.8秒という加速力はやや控えめかもしれないが、これはそれほど重要ではないだろう。この自動車は、町中で大きなエンジン音や急加速をアピールするためのものではない。そして、ホットハッチの世界では、これこそ成熟した振る舞いと言える。

翻訳:中村航

最終更新:2017/9/20(水) 19:14
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