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iPhone新機種のびっくりとがっかり 識者3人に聞く

9/23(土) 7:47配信

NIKKEI STYLE

 スマートフォン(スマホ)市場が成熟に向かう中、米アップルが発表したiPhoneの新機種を専門家たちはどう見ているのだろうか。今回の発表の第一印象としては「新鮮味に欠けた」との声も聞かれた新型iPhoneだが、モバイル機器やデジタル機器に詳しい識者3人に改めて「びっくり」と「がっかり」のポイントを挙げてもらった。

■佐野氏:まとめる力はさすが、目新しさには欠ける

 有機ELディスプレーや顔認証、ワイヤレス給電など、新型iPhoneに搭載された機能は、そのほとんどが事前に予想された通りだった。だが実際に登場したiPhone Xを見ると、それを一つにまとめあげる力はさすがだなと感じた。それぞれの要素がとてもスマートに製品化されている。これはアップルが持つ、変わらないアドバンテージだ。

 機能的に注目は、やはりAI(人工知能)専用ユニットの「ニューラルエンジン」だろう。今回は顔認証に用いられるだけだというが、チップセットにAIを搭載することでさまざまな可能性が広がると感じた。これまでモバイル端末でAI機能を提供する場合、クラウド上で処理をしていた。しかし、クラウドにあげるのに抵抗を感じる情報もある。たとえば顔認証の情報をクラウドで処理することに不安を感じる人もいるだろう。こういった傾向はますます強くなっていくはず。そういったデータをクライアント側で処理できるのは大きい。

 もちろんクラウドのAIもますます発展していくだろう。クラウドとクライアントという2つの軸で対応できるようになったというのは、スマホのAI化にとって大きなポイントになるはずだ。


 「残念だった点」は、「良かった点」の裏返しになるが、個々の機能に目新しさがなかったことだ。スマホ用の有機ELディスプレーはいうまでもなくサムソンが先行しているし、AIを搭載したチップセットは、ファーウェイが9月2日にドイツ・ベルリンで開催されたIFA 2017で発表済み。デュアルカメラもやはりファーウェイが先行した技術だ。

 アップル最大の強みだったデザインも同じことがいえる。これまではiPhoneのデザインを他社が追随してきたが、今回のiPhone XはアップルがGalaxyっぽいスマホを出したという見方もできるだろう。スマホ前面をすべてディスプレーにするという情報は早くから出ていたが、実際に登場したiPhone Xは有機ELを最上部まで広げているものの、カメラやセンサーを装備するために一部がへこんだデザインになった。指紋認証用のTouch IDセンサーをディスプレー内に埋めこむという噂もあったが、今回は採用されなかった。このような工夫を実現する時間がなかったのかもしれない。

 一方、同時に発表されたiPhone 8は前機種iPhone 7と比べガラス素材になったこととワイヤレス給電くらいしか違いがない。10年前の初代iPhone発表以来、スマホをけん引してきたアップルだが、ここにきて手詰まりを感じさせた。

佐野正弘 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。NIKKEI STYLEに「佐野正弘のモバイル最前線」を連載中。

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最終更新:9/23(土) 7:47
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