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「組長の妻」、その超ワルな人生は壮絶だった

9/23(土) 15:00配信

東洋経済オンライン

 タイトルを見てどんな本だろうと思った方に、あらかじめ申し伝えておきたい。最後には更生するので、安心して読み進めて欲しい、と。

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だが本書『組長の妻、はじめます。: 女ギャング亜弓姐さんの超ワル人生懺悔録』は、更生してヤクザの世界から足を洗いましたといった類の単純な話ではない。更生して辿りついた先が、組長の妻であったのだ。ならばヤクザの世界よりも極悪な世界とは一体いかなるものなのか。それが本書の主人公・亜弓さんの半生を通して、これでもかと語られていく。

■喧嘩、シンナー、男性関係、クスリ…

 いつだって大きな悪事は、些細な出来事から始まる。亜弓さんの不良への第一歩も、万引きであった。そこから喧嘩、シンナー、男性関係、クスリへと落ちていく様は、まるでレールを敷かれているかのようである。

 そして最大の敵は、喧嘩の相手でも、警察でもなく、仲間たちの存在だ。悪事を行う際の人間関係こそが感覚を麻痺させ、その状態から抜け出すことを困難にし、人生を破滅の道へと追い込んでいくのだ。

 やがて彼女は、付き合い始めた男がシャブの売り子と車の窃盗団をやっていたことをきっかけに、我が国の犯罪史上まれに見る窃盗団の女首領へと成り上がっていく。この自動車窃盗の腕前が、ハンパねぇレベルだ。

 その域へ到達するまでには、方向こそ間違えているものの、たゆまない努力が必要である。まずは、盗難アラームの見分け方。警報が音だけなのか、警察とか警備会社に通報されるものか、どのように解除したらいいのか、これをオートバックスや車やのメカニックに質問しまくることで、多くの知識を得た。続いて鍵の研究。キーシリンダーを外したり、分解したりして、キーシリンダーの構造を把握しようと努める。

 熟練した後には、数分あれば車を盗むことができるほどの手腕を身につけ、「公園で木の実を拾うような感覚で、毎日、車泥棒をする」、そんな生活を送っていたという。その結果が、後にクルマを76台窃盗したことで起訴され、被害総額は1億円を超えと言われるくらいのスケール感を生み出した。

■「マッドポリス事件」

 しかし、こんな生活が長く続かないことなど、想像に難くはないだろう。やがて刑務所とシャバを行ったり来たりする生活が始まる。1度目の刑務所出所時は、弟分たちが気を利かせて出所祝いにシャブを持ってきたことから、1週間ももたずにシャブ生活へと逆戻り。別の出所時には、生活保護で住まいを借りたものの、数日もするとシャブ中と窃盗犯罪者ばかりが出入り売る悪のアジトと化してしまう。

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