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旅慣れた男性が人生で一度だけ部屋交換を求めた「最悪の宿」

9/25(月) 16:00配信

マネーポストWEB

 旅行をする際に大切な「どこに泊まるか」という問題。後々思い返すと、観光地よりもホテルの方が印象に残るというのはよくあること。これまでフリーライターとして全国を飛び回ってきた金子則男氏が、「人生でただ一度、部屋の交換を求めた」という笑えない珍事件について語る。

 * * *
 これまでホテル、旅館、民宿などに、少なく見積もっても500泊以上は泊まっていますが、「部屋を変えて欲しい」とクレームを入れたことは一度しかありません。ホテルの真隣りがクラブで、ダンスミュージックのリズムが朝まで耳もとで鳴っていた時も、両開きのカーテンが片側しか付いていなかった時も部屋を変えてもらわなかった私が、人生で唯一、部屋を変えてもらったのは、埼玉県のあるビジネスホテルに泊まった時のことでした。

 そのホテルは、当時住んでいた都内の自宅からドア・トゥ・ドアでも1時間ほどの場所にありました。家に帰ろうと思えば帰ることもできたのですが、翌日も同じ場所に用があったため、ホテルを予約。夕方にホテルにチェックインをし、シャワーを浴びて夕食を食べに行き、部屋に戻って備え付けのテーブルに座ってテレビを見ていました。

 なぜそんなことをしたのか覚えていないのですが、座っていたソファーの隙間に手を入れると鋭い痛みが走り、あわてて手を振り払うと、すぐにその原因が分かりました。ソファーの隙間に注射針が入れられていたのです。手を確認すると、指にプッツリと穴が開いており、そこから血が出ています。誰が何のために使ったのか分からない注射針が刺さってしまったのでした。

 私はすぐにフロントに電話をし、部屋の交換を要求しました。フロントのスタッフは注射針をしげしげと見つめた後、「どこにあったんですか?」と尋ね、私が「ソファーの隙間です」と答えると、「そうですか」と、ひと言。特にお詫びのコメントはなく、「ではこちらの部屋をお使い下さい」と、新しい鍵を出してきたので、私は荷物を抱えていそいそと新しい部屋へ移りました。

 ベッドに横になると、

「もしあれが覚醒剤だったら、自分は逮捕されてしまうのか?」
「今ごろ、フロントの人間は『注射針を持っている怪しい客がいる』と、警察に連絡しているのではないか」
「2度と治らない病気に感染してしまったのではないか……」

 など、あらゆる最悪のケースが頭を駆け巡ります。しかしそのうち眠りについてしまい、翌朝、チェックアウトをすると、私の“事件”は引き継ぎされていないのか、ここでも詫びの言葉はナシ。結果的に私は、警察に拘束されることも、体調が悪化することもなく現在に至っているわけですが、あの宿が私にとって「人生最悪の宿」だったことは疑いの余地はありません。

最終更新:9/25(月) 21:21
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