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東芝報道はなぜ「誤報」が相次ぐのか?――二転三転する半導体売却先

9/25(月) 7:00配信

文春オンライン

 9月12日夜、みずほフィナンシャルグループの記者懇談会が開かれた。だが、佐藤康博社長、みずほ銀行の藤原弘治頭取、大企業担当の役員が揃って遅れ、報道陣に緊張が走った。

「みずほは東芝の主力行。東芝メモリの売却で動きがあるため、遅れているのではないかと疑心暗鬼になったのです」(経済部記者)

 ベインキャピタルを中心とする日米韓連合と、ウエスタンデジタル(WD)を含む日米連合で、二転三転する東芝メモリの売却先。決定時期も6月末から8月末、さらには9月までずれ込んでいる。報道合戦が続く中、相次いでいるのが「誤報」だ。

 この日は、専門紙の日刊工業新聞が、東芝はWDが軸の日米連合に売却する方針を固め、13日に決定すると報じたが、結論は先送りになった。

 日経新聞も、8月30日に、〈東芝、WDに独占交渉権 半導体売却 来月にも契約〉と報じた。

 しかし、9月に入って状況は一変、東芝は「日米韓連合」との再交渉を決めた。

「一連の報道は、読者をミスリードする形になってしまった。『うちが間違えたのか、東芝が間違えたのか、きちんと検証した上で記事を書け』という声が社内の会議であがったそうです」(日経関係者)

「誤報」が生まれる背景を銀行関係者が解説する。

「東芝経営陣が『決められない』と批判されているが、それは当たっている。報道当時は正しい情報が、結果的に間違ってしまう。ただ、東芝は事実上、破綻企業ですから、簡単には『決められない』面もあるのです」

 東芝問題は、とにかく“船頭”が多いのが特徴だ。

「東芝経営陣、主力行のみずほ、三井住友銀行に加えて、再建に強い発言権を持つ経産省、産業革新機構、さらに買収を狙うベインやWDもいる。記者としては、東芝報道は扱いが大きくなり、紙面を埋めるためにも、話がとれれば書かざるをえない。WDなどは、PR会社を使ってリークしているとか。これまでの企業報道は、経営陣か、生殺与奪を握る銀行を抑えていれば、スクープできた。だが、東芝ではそれが通じない」(同前)

 かくして“誤報”を書かされたメディアの怒りの矛先は、東芝経営陣に向かっている。

森岡 英樹

最終更新:9/25(月) 16:27
文春オンライン

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