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北朝鮮を支配する金一族の血塗られた野望

9/25(月) 20:00配信

エスクァイア

ミサイル発射や核実験など、物騒な話題で世界の注目を浴びる北朝鮮。世界中が北朝鮮のミサイル発射を見守るなか、パラノイアの最高指導者・金正恩(キム・ジョンウン)は自分の座を脅かすかもしれない一族を排斥するのに忙しい。今年2月マレーシアで、異母兄・金正男(キム・ジョンナム)が神経ガスで暗殺され、その息子で22 歳の金漢率(キム・ハンソル)は暗殺リストの次なる標的になることを恐れ、身を隠している。

【謎に包まれた金一族の家系図はこちら】

 ビデオは何の前触れもなくはじまっていた。白い背景の前に座る、黒い服を着た若い男。彼がどこに、誰といるのかを明かすものはなかった。 
 
 彼はカメラに向かって「私は北朝鮮の出身です」と英語で言い、それを証明するように、カバーに白頭山を描いた紋章のあるパスポートを見せ、「私の父は数日前に殺されました」と続けた。画面の上には、英語とハングルで「チョルリマ民間防衛」と書かれたマーク。チョルリマとは、翼をもち、一日に千里を駆ける伝説上の馬。「この状況がよくなることを望む」と彼は言い、41秒のビデオは終わった。彼の名は金漢率(キム・ハンソル)。父・金正男(キム・ジョンナム)の暗殺指令を出したと考えられているのは、正男の腹違いの弟で、朝鮮労働党委員長、朝鮮民主主義人民共和国の最高指導者、金正恩(キム・ジョンウン)。 
 
 33歳の金正恩は、世界でもっとも若い独裁者だ。核兵器と弾道ミサイルを開発し、最も危険な人物と目されている。北朝鮮が「火星14」ミサイルに搭載する小型の弾頭を開発すれば、想像を超える破壊をもたらす兵器を手に入れることになるのだ。 
 
 北朝鮮にとってゴールは攻撃の実行ではない。北東アジアに駐留する米軍は8万人。背後には原子力空母が控えており、攻撃は自殺行為と言えることであろう。狙いは、自国の人民に自分の力を証明し、国際社会に対して、北朝鮮が核保有国であることを認識させるのに充分な不安を掻き立てること。そしてアメリカを交渉のテーブルにつかせ、朝鮮戦争を公式に終結させる平和条約とまでいかなくとも、援助と利権を得ること。 
 
 すべての独裁者がそうであるように、体制と人民の忠誠を保つために、彼は絶えず精神的なプレッシャーを感じている。若く世間知らずであるだけに、権力の座にいるために絶対的な支配を求め、敵を排除する…。したがって、誰一人、彼自身の家族でさえも、安全な場所にいるとはいえない。

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最終更新:9/25(月) 20:06
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