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一時代の終焉:Amazon「1-Click 注文」の特許が失効

10/2(月) 7:10配信

DIGIDAY[日本版]

今後、人差し指の重要度が増すかもしれない。なぜなら、Amazonの「1-Click 注文」システムの特許の期限が切れたからだ。この特許をAmazonは、1999年に取得している。これがどれだけ魅力的でも、競合となるリテーラーたちは、特許使用料を払わずには使えなかったが、今後はそれが増えていくかもしれない。

「1-Clickで今すぐ買う」ボタンを使えば消費者は、配送や支払いの情報をいちいち入力する必要もなく、素早く商品の注文ができる。このシステムはAmazonの支払いプロセスにおいて非常に大きな要素となってきた。オンラインでの精算に留まらず、物理的なボタンを自宅やオフィスに設置して、それを押すだけで商品を注文できるAmazon Dash Button(アマゾン ダッシュ ボタン)といったデバイスにも発展した。また、音声アシスタントのEcho(エコー)では音声コマンドだけで商品の注文ができる。

この特許をAmazonは頑なに守ってきた。書店大手のバーンズ・アンド・ノーブル(Barnes&Noble)が90年代後半に類似のテクノロジーを実施し、Appleといった企業にライセンス提供したときには訴訟を起こしている。ジェフ・ベゾスCEOは2000年、Amazonの特許を守るための声明を出した。その内容は、「我々の『1-Click 注文』特許に関して数百ものeメールを受け取っている。そのうちの99%は丁寧で建設的なものだ。残りの1%については、彼らの熱気と激しさに感謝の意を表明したい」という文ではじまっている。

「1-Click 注文」の威力

オンライン注文における大きな問題のひとつに「カゴ落ち」がある。商品を選んでも精算せずに、そのまま「買い物カゴ」に入れられたまま放置されてしまうというものだ。これはモバイル、デスクトップ、どちらにおいてもリテーラーにとって大きな収益の損失源となっている。「1-Clickで今すぐ買う」ボタンは、この大きな問題を解決してくれるのだ。今年行われた多くの研究によると、「カゴ落ち」率は平均して70%となっている。

「1-Click 注文」がAmazonにどれほどの収益をもたらしているのかは不明だが、ある推測結果によると、これによってAmazonの売上は5%増加されているとのことだ。これは年間にして24億ドル(約2677億円)の価値があることになる。

広告エージェンシー、ワンダーソース(Wondersauce)の共同ファウンダー、エリック・メイヴィル氏は「Amazonがeコマースの業界スタンダードを決定する」と語る。ワンダーソースはDKNYやボンバス(Bombas)といったリテール顧客を抱えている。Amazonが確立したスタンダードに追随した例としてメイヴィル氏が挙げたのは、ECプラットフォームの「ショッピファイ(Shopify)」だ。ショッピファイはサイト上で何かを購入すれば、次回に顧客を認識するというシステムで「1-Click 注文」を真似ようとした。しかし、これも完璧ではない。

「ボンバスを例に挙げると、靴下をたまに買うだけの消費者がいたとして、それを1回のクリックで購入できないというのは良くない。『1-Click 注文』のような仕組みを導入することは絶対に重要だ。しかし、AmazonはもはやAIによる予測を使って、いつトイレットペーパーがなくなるか予測し、先回りしてトイレットペーパーを送る、というような方向性に向かっている。そのため、ボンバスのような定期的に購入を繰り返すようなブランドにとっては、長期的には『1-Click 注文』はそれがあって当たり前、そこからが勝負、という状態になるだろう」と、メイヴィル氏は語る。

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