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糖尿病の薬(6) 『 α-グルコシダーゼ阻害薬』

10/10(火) 13:58配信

月刊糖尿病ライフ さかえ

第6回  α-グルコシダーゼ阻害薬の物語

■ どうやって誕生したの?
 1970年代にアミノ糖産生菌の培養液の中から、糖の吸収、分解を抑える物質を作り出すことに成功しました。これが「α(アルファ)-グルコシダーゼ」阻害薬の誕生です。実は、最初この薬は何の病気に効く薬か分からず、消化吸収が関与する病気か、または肥満か高脂血症かと研究され、やがて糖尿病に効く薬であることが分かりました。

 食事をすると、食物は口内で唾液中の唾液アミラーゼによって分解され、一部がマルトース(麦芽糖)になります。胃・十二指腸では膵(すい)液中のアミラーゼにより、すべてマルトースになり、小腸で小腸粘膜にあるα-グルコシダーゼによって分解され、グルコース(ブドウ糖)となって吸収されます。そして血糖値が上がります。ですから小腸でα-グルコシダーゼのはたらきを抑えれば、マルトースからグルコースになることを防いで小腸からのグルコースの吸収を遅らせ、食後の急激な血糖値の上昇を抑えることができます。

 ここで間違ってはいけないことがあります。この薬は、マルトースからグルコースになることを完全に防いで作らなくするわけではなく、ゆっくり時間をかけてグルコースを作るために、小腸から吸収するのもゆっくりになるだけです。たくさん食べても大丈夫なわけではありません。食事療法はしっかり守ってください。

 食前の血糖値はそれほど高くないのに食後の血糖値が高い方は、食事の直前、「いただきます」の言葉とともに薬を飲んでください。「食事の前に」は忘れても、「いただきます」は忘れないですよね。また、「食事の後」にこの薬を飲んでも、食事の分解や吸収が始まっているため意味がありません。「食事の直前」に飲む理由はここにあります。

 この薬は低血糖時、砂糖が血糖値を上げるグルコースになることもゆっくりさせてしまうため、砂糖をとってもなかなか血糖値が上がりません。ブドウ糖にしましょう。また、食物繊維をとることでグルコースの吸収をゆっくりさせて食後の血糖値の上昇をおだやかにすることもできます。

■ 新しい情報
 ボグリボース錠は、「耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制」の保険適応があります(0.2mg錠のみ、ジェネリック医薬品は除く)。

■ 気になること
 この薬を飲むと、おならが気になります。それは、小腸でグルコースに分解されなかった糖質が大腸で腸内細菌に分解され、その際にガスを発生するからです。放屁(おなら)、腹部膨満感(おなかが張る)、軟便などが起こっても、しばらくすると治りますが、症状が気になったり、分からないことがあれば、主治医やかかりつけの薬剤師に相談しましょう。

杏林大学医学部付属病院 薬剤部
小林庸子(こばやし・ようこ)

※『月刊糖尿病ライフ さかえ 』2017年6月号より

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月刊糖尿病ライフさかえ

時事通信出版局

2017年10月号
(第57巻・10号)

本体¥500+税

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