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イージス艦事故の黒幕は北朝鮮か? 最強の軍艦の思わぬ弱点

10/12(木) 19:13配信

ニューズウィーク日本版

第7艦隊で立て続けに事故

米海軍第7艦隊(司令部・ハワイ)は米海軍最大の艦隊であり、横須賀基地(神奈川県横須賀市)、佐世保基地(長崎県佐世保市)、韓国の釜山、浦項、鎮海、シンガポールなどに拠点を有する。その第7艦隊で、今年に入って所属するイージス艦が立て続けに3件の事故を起こし、サイバー攻撃を受けたことが事故の原因、との報道もあって波紋を呼んでいる。

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最初の事故は1月、イージス巡洋艦「アンティータム」が横須賀基地を出航後、強風と強い潮流によって沖合の浅瀬で座礁して、油を流出させた。その後、海軍の調査によってこの座礁は、強風で波が高かったにもかかわらず、いかりを投入するという判断ミスにより走錨(いかりを投入したのに船が流される)が発生するという人為的な原因によるものと判明し、艦長ジョセフ・キャリガン大佐が更迭された。

6月には、16日に横須賀基地を出航したイージス駆逐艦「フィッツジェラルド」が、17日未明に静岡県の石廊崎沖合で、フィリピン船籍のコンテナ船の船首部分と衝突。艦長室が大破して艦長のブライス・ベンソン中佐が負傷し、ヘリで横須賀基地に搬送された。乗組員の寝室がある海面下の船体には大きな穴が開いて海水が流れ込み、逃げ遅れた複数の乗組員が行方不明となって、後に死亡が確認された。

この事故の余塵(よじん)が冷め切らぬ8月には、イージス駆逐艦「ジョン・S・マケイン」がマラッカ海峡でリベリア船籍のタンカーと衝突。ジョン・S・マケインは左舷後部を大きく損傷し、乗組員の寝室、機関室、通信室などが浸水した。ジョン・S・マケインは自力でシンガポールのチャンギ海軍基地まで航行したものの、艦内の浸水区画内をダイバーが捜索した結果、乗組員10人の遺体が発見された。

事故艦の司令官を相次ぎ更迭

立て続けに同じ第7艦隊所属のイージス艦で事故が起きたことから、サイバー攻撃との関係を指摘する声もあった。しかし、これらの事故は当初、オバマ政権下の予算削減の影響による過重運用の影響、訓練不足や規律の緩みなどの「人的要因」が主な原因であるとみられていた。

8月21日、米海軍作戦部長ジョン・リチャードソン大将は海軍全艦艇の運用を一時停止すると発表、運用慣行の「包括的な見直し」を指示した。また8月23日には、第7艦隊司令官のジョセフ・アーコイン中将が「指揮能力に関する信頼の喪失」を理由に更迭された。後任の司令官には、8月27日に米太平洋艦隊副司令官のフィリップ・ソーヤー少将が、中将に昇格して任命された。

新任のソーヤー司令官は9月18日、原子力空母「ロナルド・レーガン」を中心とする第5空母打撃群を運用する任務部隊70の司令官であるチャールズ・ウィリアムズ少将と、事故を起こしたジョン・S・マケインとフィッツジェラルドが所属する第15駆逐艦戦隊司令官のジェフリー・ベネット大佐を更迭、後任にはそれぞれマーク・ダルトン少将とジョナサン・ダフィー大佐が就任した。

米海軍は事故の原因を人的要因と見て、艦隊司令官、事故艦が所属する駆逐隊司令官から事故艦の艦長に至るまで、事故に関係する司令官の責任を仮借なく追及する姿勢を見せたことになる。

ただ、フィッツジェラルドに続いてジョン・S・マケインも衝突事故を起こしたことで、相次ぐ事故はサイバー攻撃を受けたことに原因があるのではないかという見方がくすぶっている。

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