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忘れられていた画家アンデルス・ゾルンが、111年ぶりにパリで展覧会を開催。

10/15(日) 16:38配信

madame FIGARO.jp

画家アンデルス・ゾルンをプティ・パレで。

1888年から8年間ほどアトリエを構え、19世紀末から20世紀初頭にかけてパリで愛されていた画家アンデルス・ゾルン(1860~1920)。本国ではアンデシュ・ソーンと発音されるようだ。“忘れられた画家”のひとりだった彼の回顧展が、プティ・パレで始まった。母国スウェーデンでは有名な画家である彼の作品が、パリでまとめて紹介されるのは1906年以来というから、なんと111年ぶり!

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展覧会ごとに時代やテーマの雰囲気を会場に作り上げる構成を得意としているプティ・パレらしく、今回、来場者はまずはスウェーデンの湖畔の家を彷彿させる茶色の木の壁に迎えられる。そこに掲げられているのは、画家が55歳の時の自画像。手にタバコを持ち、ポケットチーフを胸に飾ったスーツ姿で描かれ、なんだか画家というより実業家にみえなくもないが……。

スウェーデン中央部の湖に面したモーラで豊かとは言い難い家庭に育った彼は、早々に彫刻や絵画の才能を発揮した。15歳でスウェーデン王立芸術アカデミーに入学。20歳の学生時代、黒いヴェールをかぶった女性の横顔を描いた『En deuil(喪中)』がスウェーデン王の目にとまリ、複製を注文されるという出来栄えだった。その作品を展示しているのは最初の部屋「デビュー」で、ここには風景、肖像画、ヴィクトリアン調など彼の作品の多様性が画家としてのキャリアの初期からのものだったことを示すような展示となっている。

校長と意見が合わずにアカデミーを退学した後、彼は海外へと旅に出た。22歳でロンドンのメイフェアにアトリエを構え、肖像画家としての名声と同時に経済的豊かさも得た彼は、祖国に戻り、密かに婚約をしていたブルジョワの娘エマと結婚。

28歳から8年間夫妻はパリのクリッシー通りに暮らし、彼は肖像画を描くことによって政界、芸術界にその名を轟かすことになる。ロダンとも親しかったとか。19世紀末の社交界や政財界の肖像画家として名高いのはシンガー・サージェントやボルディーニだが、この“忘れられた画家”ゾルンも当時はそのひとりだった。彼に肖像画を描いてもらう、というのはステータスだったのだ。彼は肖像画を描く際は、モデルの自宅や仕事部屋へと出向いていった。そして、腕をふるうような大胆な筆運びで、モデルやその周囲の人々を圧倒していたらしい。

スウェーデンの画家たちの中でも、彼の水の表現の上手さには定評がある。その魅力は、ヴェニスのゴンドラ漕ぎや湖を描いた作品でもたっぷりと鑑賞できる。無垢とエロスが共存する裸婦も多数……水彩画にも油絵にも優れた彼は、レンブラントに影響を受け、銅版画も多数残している。

1世紀以上の期間をおいて彼の仕事をパリで紹介する機会というだけあって、約150点もの作品を集めた意欲的な展覧会だ。

「Anders Zorn Le maitre de la peinture suedoise」
会期:2017年12月17日まで
Petit Palais

mariko omura

最終更新:10/15(日) 16:38
madame FIGARO.jp

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