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元バレー女子代表監督・眞鍋氏の哲学 世界に勝つための鍵は「非常識を常識に」

10/19(木) 10:11配信

THE ANSWER

体格差を埋める日本人特有の長所…レシーブ力を磨くべく妥協なき練習を展開

 世界と渡り合うためにはどうすればいいか――。

 スポーツの世界においては永遠のテーマである。

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 とりわけ、縦18メートル×横9メートルの限られたエリア内で、高さ2.43メートル(女子は2.24メートル)のネット越しにボールを返さなければならないバレーボールにおいては、身長や身体能力の高さがものを言うだけに、その対処法は勝敗を大きく左右することになる。

「背が低い日本が諸外国に勝つためには、同じことをしてもダメ。日本のオリジナルというか、『非常識を常識に変える』くらいやらないと世界には絶対に勝てない、と選手たちには口酸っぱく言っていました」

 そう語るのは、元全日本女子監督の眞鍋政義氏だ。2008年12月に全日本女子監督に就任。データを駆使した「IDバレー」で2010年の世界選手権で32年ぶりのメダル、12年のロンドン五輪では28年ぶりの銅メダルをもたらした名将はこう話す。

「平均身長で5センチ差があったら、リーチは倍違うと言われます。体格で敵わない分、日本人特有の長所を伸ばしていかないといけない。そのひとつがレシーブ力です。レシーブの練習だけは妥協せずにやりました」

時速100キロ以上の強烈スパイクをレシーブ、拾って拾って拾いまくるバレーに進化

 眞鍋氏が女子バレーに落とし込んだ「非常識」とは何か。その代表例が、男子選手のスパイクをレシーブさせるという“スパルタ特訓”である。

「毎日、身長190センチ以上の男子選手を呼んできて、相手コートから思い切りアタックを打ってもらう。距離にして約4メートルですかね。1人3本レシーブしたら終わりなんですが、現役男子のスピードボールを女子選手は避けられない。コートの周りには、トレーナーやドクターを控えさせていました」

 いくら日本代表と言っても、男子選手と女子選手の身体能力の差はやはり大きい。ブロックなしで時速100キロを優に超える強打をレシーブすることに、「怖い」と漏らす選手もいたという。それでも、眞鍋氏は「非常識」を8年間貫いた。世界と戦うために――。

 スパイクは容赦なく選手たちの顔面を襲い、腕や太ももは青たんだらけ。ずっとレシーブの体勢をしているため、足もガクガクと震える。当初はこの練習だけで5時間かかったこともあった。それでも少しずつ体がスピードに慣れ始め、3か月が経過した頃にはレシーブの質が変わってきたと振り返る。

「不思議なもので、運動神経の良い竹下(佳江)や木村(沙織)は一か月半くらい練習を続けたら、体が自然と反応していました。他の選手も3か月後にはレシーブが変わっていましたね。男子選手のスピードが基準になれば、たとえ相手が中国でも、アメリカでもブラジルでも半分程度です。この練習のおかげで、試合でボールを緩く感じてレシーブできたと思います。バレーは信念と執念があれば、苦しい練習にも耐えられる。日本以外の選手に、この練習は絶対にできないでしょう」

 こうして、拾って拾って拾いまくる日本オリジナルの「組織バレー」は進化を遂げたのだった。

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最終更新:10/19(木) 10:11
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