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旧統一教会の合同結婚式で結ばれた日本人カップル3組を直撃――婚前恋愛の禁止、宗教への偏見に何を考える?

10/20(金) 9:00配信

週刊SPA!

 世界平和統一家庭連合(以下、旧統一教会)の「合同結婚式」が様変わりしている。今年9月7日に韓国・清心ピースワールドセンターで開催された「世界一のマンモス結婚式」。その熱狂ぶりは、前回のレポート「旧統一教会の国際合同結婚式に潜入! 日本人カップル数は1400人で過去最大に」にあるとおりである。

⇒【写真】合同結婚式をあげるカップルたち

 では、新郎・新婦は実際に何を考え、どんな動機で合同結婚式に参加しているのか? 日刊SPA!は6組の日本人「二世」カップルに直撃。前後編に渡ってリアルな肉声をお届けする。二世とは親が旧統一教会の信者で、自身も産まれたときから教義に囲まれて育った信者のこと。現在、旧統一教会ではこの二世が急増中。合同結婚式で結ばれた両親の子供が、今度は自分も合同結婚式に出席するというのだ。

CASE #01■「統一教会は邪教」高校教師の言葉に……

新郎:S・T(21歳・大学4年生)/趣味=プロ野球観戦

新婦:M・S(20歳・大学3年生)/趣味=友達と遊ぶこと

 合同結婚式に参加する新婚カップルたち、特に二世信者たちは驚くほど年齢が若い。ともに大学に通っているこちらのカップルは、21歳と20歳。合同結婚式に参加できる最低年齢は20歳なので、条件を満たしてから速攻で結婚に踏み切ったことになる。ご存知のように、現在の日本は「経済的に不安」「仕事が忙しくて家庭どころではない」「まだ恋愛して青春を謳歌したい」などといった理由から、晩婚化に歯止めがかからないでいる。なぜ旧統一教会の信者たちは結婚を急ぐのだろうか?

S・T:自分的には、早すぎるなんて思わないんですよ。祝福を受ける(合同結婚式に参加する)というのは、これまでもずっと考えてきたことなので。少なくとも大学生のうちには受けたかった。統一教会に関して個人的に一番葛藤していたのは何かというと、恥ずかしい話なんですけど、それは異性関係なんです。つまり「恋愛しちゃいけない」ということですよね。その葛藤があったからこそ、祝福は若いうちに受けたほうがいいと考えたんです。

――でも、新郎はいかにもモテそうじゃないですか。バレンタインとかで女性から告白されたら、どう対応してきたんですか?

S・T:「そういうの、俺はいいかな」って考えるようにしていました。自分が告白されるのは、まだいいんです。だけど人間だから、やっぱりこっちも人を好きになってしまうことがあるじゃないですか。好きな子ができても、親からダメだと言われていたからその感情を押し殺して。あの……自分ってそんなに真面目な信者だとは思わないんですよ。高校のときなんて、それこそ礼拝にもあまり通っていなかったですし。だけど「恋愛はしちゃいけない」っていうことだけは、しっかり守っていたんですよね。

――ストイックな清純派アイドルみたいな考え方ですね。

S・T:友達と一緒にいると、「えっ!? お前、女とつき合ったことないの!?」みたいな話になるんですけど、それが本当に嫌で……。自分としては「いや、違うんだ!」って言いたくて仕方ないんです。「モテない奴らと一緒にしないでくれ! その気になれば恋愛くらいできるんだよ!」って(笑)。今の世の中って、「恋愛できない奴=何か欠陥がある人」みたいな考え方がないですか? 恋愛弱者に対して厳しい雰囲気。そういうのもあって、すごく追い詰められていました。

――恋愛の問題以外で、信仰がグラつくようなことはこれまでありませんでしたか?

S・T:ありました。高校生のとき、ちょうど通学路の途中に(旧統一教会の)教会があって、自叙伝を配っていたんです。うちの学校の生徒も、何人かはもらっていたと思う。それでその日、世界史の授業中に先生が言ったんですね。「これ、もらった人いますか?」って。先生は手に持っていた自叙伝を床に叩きつけると、「もらった人がいるなら、私がすべて回収します」と吐き捨てるように言いました。それから黒板に「文鮮明」「統一教会」って書き出した。で、もうあることないことボロクソに言うわけですよ。「統一教会なんて邪教中の邪教だし、こんな教団と関わったら人生ボロ雑巾にされるぞ!」と。そのとき、初めて自分は知ったんですよね。統一教会が世間からどう見られているのかっていうことを。それまで何の疑いも持っていなかったわけだから、すごいショックでしたよ。

――トラウマになりそうな話です。

S・T:世界史の授業が終わっても、生徒は口々に「統一教会ってヤバいね」みたいに話しているわけですよ。それなのに「俺、そのヤバいところにいるんだけど……」なんてカミングアウトできるはずないですよ。それ以来、会話の中で「統一教会」っていう単語が出ると、「ふ~ん、そんなも話あるんだね」みたいに無関心を装うようにしていますけど。

 果たして公立高校の教師がひとつの宗教に対し、そこまで踏み込んだ話を授業中にしていいのかは疑問が残るところだ。たしかに旧統一教会は高額の霊感商法などによって、一時期、大きな社会問題となったのは事実である。だが、一方で日本では信仰の自由が認められている国家だ。S・Tさんによると、その世界史の教師は日教組系だったとのこと。勝共連合(編集部注:統一教会教祖・文鮮明が創設した「国際勝共連合」の通称。反共主義の政治団体で、昭和の大物フィクサー・笹川良一が名誉会長を務めた)などの運動を展開していた旧統一教会を目の敵にしていたのかもしれないが……。

――出会ってから今日に至るまでは、どんな感じだったんですか?

M・S:10月に初めて会ったときは、普通に水族館に行きましたね。そこで、いろんな話をしたことを覚えています。普段は何をしているのか? 中高生のときに部活は何をしていたのか? お互い、相手のことを知らないわけですから。そこからは月1ペースで普通にデートしてきました。12月には表参道や六本木で「イルミネーション巡り」したし、2月にはお台場に出かけたし。LINEでも、ほぼ毎日連絡を取り合っていましたね。スタンプも普通にクマのやつとかを使って。いたって普通の恋人同士だと思いますよ。

 会話の節々に「普通」というフレーズを挟み込んでくるM・Sさん。自分たちは普通。旧統一教会の信者だからといって、特別視しないでくれ――。そんな主張が根底にあるのかもしれない。たしかに2人で話している様子は、一般的なカップルにしか映らない。どんな家庭を築くつもりか尋ねてみると、「これから話し合っていきますけど……」と照れながらも、「子供は3人くらい欲しいですね」と笑った。旧統一教会の信者ということで必要以上の受難を受けたこともある2人だが、今、ようやく「普通の」幸せを手にしようとしている。

CASE #02■「二世にとって統一教会は“与えられた信仰”」

新郎:W・T(24歳・宣教師)/趣味=スポーツ観戦(特にラグビー)

新婦:W・R(22歳・大学4年生)/趣味=サイクリング

 合同結婚式の相手はどのようにして決まるのか? かつては教祖・文鮮明のマッチングにより一方的に決められていたが、それは完全に過去の話。近年は「お見合いサイト」のようなシステムが中心になっているのだ。まずは自分の写真やプロフィールを教団の公式ウェブサイトにアップし、同時に結婚相手の条件を記入。実際に会ってみて気に入らなかった場合、断ることも可能だという。しかも「結婚率は100%、離婚率1.7%」という驚異的なデータもある。こうなると、結婚目的で旧統一教会に接近する独身者もいそうだが……。

W・T:そう簡単にはいかなくて(笑)。祝福を受けるには、ある程度の「条件」が必要なんです。それは主に「修練会」と呼ばれる泊まり込みの勉強会。4日間、7日間、21日間と種類があるんですけどね。修練会を積んだ上で、自分の意志を固めていくことになります。あと、ウェブサイトにアップされた写真やプロフィールっていうのは親しか見ることができないんですよ。自由恋愛じゃないから、当然そうなりますよね。まず親同士で会ってみて、そこで話がまとまったら本人たちも会うという流れです。

W・R:私たちの場合、特殊だったのは、マッチングして会ったのが実は初めてじゃなかったんです。その前に大学時代にも、信仰に関するインカレのサークルで一緒に活動していた時期があったので。大きなサークルだったから、そこまで深く交流があったわけではないけど、さすがに顔と名前くらいは知っていましたね。親同士で話がまとまって、いざ2人で会ったときは「あっ……!」ってお互いにビックリしちゃって。親は同じサークルだったなんて知らないはずだから、運命の赤い糸を感じました。さらにこれも偶然なんですけど、名字も同じなんですよ!

W・T:それからは月1ペースでデートを重ねていました。お互いの地元を案内したこともあるし、新宿でタイ料理を食べたり、お台場や横浜に行ったり……。

W・R:ごはんを食べながら、いろんな話をしました。当然、信仰の話もしますよ。あとは最近あった出来事とか。将来の話もしました。「子供、何人欲しいんですか?」とか「将来、どんな職業に就くつもりですか?」とか「妻に求めるのはなんですか?」とか。

――一世と二世はどんなところが違うと思いますか?

W・R:一世の人たちが信仰の道を歩み始めた時代っていうのは、今よりもはるかに厳しかったんですよ。統一教会といえば叩かれるのが当たり前だったし、親も友達もみんなが反対する中で信念を懸けて道を切り拓いていく感覚。生まれながらにして信仰を与えられていた私たちとは根本のところから違います。一世は「掴み取った信仰」、二世は「与えられた信仰」。

W・T:思春期を迎えると、誰でも「自分とはなんだろう?」みたいなことを考えると思うんですけど、そこでふと疑問に思うわけですね。「あれ? なんで俺、宗教とかやっているんだろう?」って。そこで二手に分かれるんですよ。実際、そこで離れていく二世の人たちは結構いるんです。そのへんが自発的に選択した一世との違いでしょうね。

 理想の家庭像として「週末の朝は、妻がクッキーを焼いたその匂いで起きたい」と語る新郎のW・Tさん。隣のW・Rさんは「聞きました? こういうこと、恥ずかしげもなく真顔で言えちゃうんですよ」と無邪気に笑う。大学時代に出会ってから時間が経っているからか、はたまた運命の赤い糸で結ばれているからか、他の新婚カップルよりも2人の距離感が近いように感じられた。

CASE #03■女性にLINEなんて送ったこともなかった

新郎:W・K(22歳・会社員)/趣味=柔軟剤集め(ラボン派)

新婦:F・S(22歳・大学生)/趣味=韓国ドラマ鑑賞

 典型的な美男美女カップルである。特に新郎のW・Kさんはいかにもいまどきの好青年といったビジュアル。話している際の物腰も非常に柔らかい。こうなると合同結婚式に参加しなくても、合コンなどで女性からは引く手あまたな気も……。だが新婦のF・Sさんによると、出会ったときの第一印象はまるで違っていたという。

F・S:体重が90kgあったんですよ。今よりも30kg太っていたので。洋服もボーダーのシャツにジャージっていうのが定番。メガネもかけていましたね。それもおしゃれなメガネじゃなくて、漫画でガリ勉の生徒がかけているようなやつ。「まぁ太っている人も世の中にはいるよなぁ」と思ったし、「太っている人は無理!」なんて口には出さなかったけど、ちょっと微妙な反応をしてしまったかもしれない(笑)。

W・K:そう。直接、「痩せろ!」って言われたわけではないんです。だけど自分で「痩せないと相手に失礼だな」と思って、その日からダイエットを開始しました。半年間で30kg絞りましたからね。血反吐が出るほど、しんどかったです(笑)。今は祝福のために髪型とかも気にしていますけど、もともと僕は恋愛経験も一切なかったし、カッコのつけ方もわからなかったんです。女性にLINEなんて送ったこともないから、文面もどうすればいいのかわからない。たわいのない言葉が思いつかなくて、わずか数行のために半日かけたけど、結局、それでも思いつかなくて、テンプレの文面をコピペしました(苦笑)。

――そもそもの出会いは?

F・S:「父母集会」というものがあって、その会場には子供の結婚相手を見つけようしている父母が集まるんです。普通は両家の両親4人で出席することが多いですね。会場にはプロフィールや写真が飾ってあるんですけど、会の最後に第1志望から第3志望まで名前を記入していくんですよ。

W・K:ドラフト会議みたいなイメージかもしれない。親目線で気に入った相手を、上から順に指名していくんです。それで親同士が別室で話す。子供の性格とか、家庭環境とか……。

――「親が気にいっても、自分の趣味的にどうも……」というパターンもあるのでは?

W・K:いや、その感覚がわからないんですよ。親が選んでくれた以上、来た相手は拒まずと決めていたので。ただ、実際は第一印象からバッチリでしたけどね。笑顔が可愛いくて、上品な印象があって。なにより家族と仲がよさそうだったから、そこが大きかった。やっぱり家庭的な人がいいっていうのがこちらの条件としてもありましたし。どんな苦しいことがあっても、家に帰ったらホッとする。そんな空間を2人で作っていきたいですね。笑顔が絶えない家庭が作りたいです。

 現在、会社員の新郎W・Kさんは、社会人になるにあたって自分を支えてくれる人がほしいと考えた。そこで両親に「大学を卒業するまでに相手を見つけてほしい」と頼んだという。話を聞いていると、一般的な日本人家庭よりも家族の結びつきが強烈であることが伝わってくる。もちろん、それ自体は悪いことではない。若い2人もまた、強固な絆で結ばれた家庭をこれから作ろうとしている。

 次回、新婚カップル肉声インタビュー・後編では、より信仰の深い3組を直撃。その知られざる内面と葛藤に迫る!

〈取材・文・撮影/日刊SPA!取材班〉

日刊SPA!

最終更新:10/21(土) 10:00
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