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シャープの地味なスマートフォンが販売好調な理由

10/20(金) 11:00配信

日経トレンディネット

 シャープが2017年7月に発売した「AQUOS R」が好調だ。前年の同等機種と比べて、販売開始後3ヵ月間の出荷台数が46%増となった。とはいえ同社のスマートフォン製品は、特徴的な新機能や斬新なデザインで注目されているわけではない。それにもかかわらず、業績が好調なのはなぜだろうか。

【関連画像】AQUOS R / R Compactは、表示速度が通常の2倍となるIGZO液晶ディスプレーや、高性能CPUの搭載などによってスクロール時の滑らかさを実現している。写真は10月13日のシャープ新製品発表会より

●旗艦モデルらしからぬAQUOS Rが絶好調

 冬商戦を控え、各社からスマートフォンの新製品発表が相次いでいる。10月13日にシャープは新機種「AQUOS R Compact」と「AQUOS sense」を発表した。

 同機種の発表会に登壇したシャープ取締役専務の長谷川祥典IoT通信事業本部長は、2017年度上期の携帯電話全体の出荷台数が前年同期比73%増になったと発表。業績が絶好調であることをアピールした。AQUOS Rのヒットが好調の大きな要因の1つとなっている。

 長谷川氏は、今年4月に行われたAQUOS Rの発表会の際、同機種の販売台数目標について「100万台を超える」と高い目標を掲げた。強気の数値目標ではあるものの、今回の発表会でも「何とか達成できると思っている」(長谷川氏)と販売台数の推移は順調だと説明する。

 AQUOS Rは女優の柴咲コウさんをテレビCMのキャラクターに採用するなど、プロモーション面はこれまでにない力の入れ具合だった。しかしながらAQUOS Rは、有機ELディスプレーやデュアルカメラといった、フラッグシップらしい最新機能を持つわけではない。それゆえイノベーター、アーリーアダプターと呼ばれる先進的な層からの注目度はそれほど高くないように見えるのだ。

先進機能に勝る日常的な使い勝手の良さ

 かつてIGZO液晶ディスプレーや、スマートフォンの上部と左右のベゼルが狭い「EDGEST」デザインといった強いインパクトを続けざまに打ち出していたころと比べると、最近のシャープ製スマートフォンはやや地味な印象がある。しかし、それらの機能やデザインをあらためて見直してみると、改良を施して使い勝手を向上させることでユーザーの満足度を高めていることが分かる。

 象徴的なのが、同社が最も力を入れているIGZO液晶ディスプレーである。本来、映像の美しさをアピールするならば液晶よりも有機ELに強みがあるうえに、目新しさもあるはずだ。それにもかかわらず、IGZO液晶ディスプレーを採用したのにはワケがある。

 AQUOS Rのディスプレーは表示速度が通常モデルの2倍となる120Hz駆動に対応しており、加えて高速なCPUを採用している。これらにより、滑らかな画面スクロールを実現しているため、画面のスクロール中でも文字が読みやすいといった特徴がある。多くのスマートフォンユーザーは映像を見る時間よりも、文字を入力したり、ウェブサイトやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を閲覧したりといった場合にディスプレーと接する時間が長い。そうした場合、IGZO液晶ディスプレーのほうが向くだろう。シャープは目先の新規性にとらわれるのではなく、今のユーザーに寄り添った製品開発に力を入れているわけだ。

 また、AQUOS Rは単に防水・防塵性能を備えるだけでなく、ディスプレーが水に濡れた状態でもタッチ操作が可能となっている。他機種は水に濡れた状態では操作できないものが多いため、AQUOS Rの利便性の高さを示す1つの特徴となっている。目立たないながらも、そうした細かな点で使い勝手を向上させているところが先進層ではなく、スマートフォンのマスとなる大衆層に評価され、販売数の増加につながったと言えよう。

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