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DVシェルターへの不信感を訴える女性が急増、職員も「牢獄のような管理」と葛藤

10/21(土) 15:03配信

週刊女性PRIME

税金で助けられているのに感謝が足りない

「支援なんかされたことがありません。支援をしているフリをしないでほしい」

 と訴えるのは、神奈川県に住む、吉田道子さん(仮名)。夫のDV被害からシェルターへ逃げ込んだ女性のひとりだ。

 殴る蹴るの肉体的暴力、怒鳴ったり罵ったりする言葉の暴力、なかには殺人事件に至る深刻なケースもあるドメスティックバイオレンス。

 そんな危機から逃れ、命の危機にさらされる女性や子どもが助けを求める最後の砦がDVシェルターだ。

 DVシェルターは行政が運営する公的シェルターと民間団体などが運営する民間シェルターに大別される。公的な施設は売春防止法に基づき各都道府県に設置された婦人相談所に併設される一時保護所。DV防止法に基づき、民間シェルターや母子生活支援施設に委託される場合もある。

 しかし、助けを求めたはずの施設で、さらに傷つけられた女性たちがいるのだ。

 吉田さんは妊娠中に結婚。出産後に夫の仕事の都合で都内に移り住んだが、一向に夫の性的・精神的DVはやまず相談できる相手もいなかった。

 悩んだ末に、子どもの3歳児健診時に保健師に相談したことから、区の生活福祉課へ行き、保護されることに。しかし、DVシェルターでの生活は苦痛を極めるものだった。

「部屋はテレビつき6畳ひと間の和室。洗濯とトイレとお風呂は共同。外部への情報漏洩や逃走を防ぐためケータイとお金を取り上げられ、入所者同士の会話も禁止されていました。外出は1日に1時間だけ。母子加算手当で1日700円支給されました。子どものおむつ、化粧品、洗濯に使う洗剤も必要で、全然お金が足りません。食事もおいしくなくて……」

 幼い子どもが食べたくないと泣く。職員に訴えたが「お母さんのしつけが悪い」と一蹴。「税金で助けられているのに感謝が足りません」と言われたことも。

 元ソーシャルワーカーでDV問題に詳しい愛知県立大学の須藤八千代名誉教授は、公的シェルターの現状にはさまざまな声があると続ける。

「一時保護所に対する不満も多数あることは否定しませんし、そういった声を私も聞いています。公的な支援であるため、入所者の要求を完全に満たすことは難しく職員の対応力が問われます」

 人類学が専門で、支援現場の調査経験もある名城大学の桑島薫准教授は、

「シェルターで監視や管理が必要なのは被害者の安全を最優先に確保するためです。草の根をかき分けて探す夫もいれば、夫と同じ型の車を見ただけで震えが止まらなくなる女性もいます。これは民間のシェルターでも同様です。しかし職員の中には“牢獄のような管理をしていいのか”と葛藤されている方もいます」

 と現場の苦しみを代弁する。

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最終更新:10/21(土) 15:03
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