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ライドシェア、民泊、フリマ、シェアリングエコノミーはどこまで進む?

10/23(月) 7:32配信

@DIME

◆モノや場所、スキルを「共有」するシェアリングエコノミーとは

「シェアリングエコノミー」という言葉を最近よく耳にするようになった。シェアリングエコノミーとは一般的に、モノや場所、スキルなどを、インターネットを使って個人間で取引することを指す。ウーバー・テクノロジーズやシェアサイクルといったライドシェア(相乗りやレンタル)、民泊の「エアビーアンドビー」、フリマアプリの「メルカリ」などがシェアリングエコノミーの代表格。@DIMEで紹介した中では、レストランの料理をデリバリーする「UBER EATS」、外国人が自宅で料理教室を開催する「tadaku」、ファッションレンタルサービスの「エアークローゼット」、シェアサイクルなどがシェアリングエコノミーのサービスだ。

【グラフ】ライドシェア、民泊、フリマ、シェアリングエコノミーはどこまで進む?

 シェアリングエコノミーは2017年6月に閣議決定した成長戦略「未来投資戦略2017」でも取り上げられており、経済活性化、少子高齢化、地方の課題解決に役立つ取組みとして注目されている。

 個人間取引のマッチングや情報提供機能などプラットフォーム提供するのがシェア事業者で、2012年に設立された「coconala(ココナラ)」もそのひとつ。ココナラは個人の得意を売買するスキルのフリーマーケットで、自分のスキルをネット上で気軽に提供できるよう出品の仕組みをシンプルにして、初期費用、月会費は無料、サービス提供価格は一律500円からの価格設定を行い、2012年7月のサービス開始以降、2017年9月時点で登録ユーザー数約70万人、出品サービス数約15万件、累積成立取引数約150万件を達成している。

 ココナラは2017年9月に全国の20歳以上の男女(ビジネス、ワーママ、主婦)を対象に「シェアリングサービス・スキルシェア利用に関する意識・実態調査」を実施し、930名の有効サンプルの集計結果を公開。調査の結果、シェアリングサービスの満足度の高さの一因として、既存のBtoCサービスよりも質が高いということが判明。

 シェアリングサービスの提供理由は、男性は「自由に使えるお金が欲しい」、女性は「時間と場所にとらわれない働き方をしたい」が上位に挙げられ、正社員の枠組みでは対処できない部分を、シェアリングサービスが補完していることが浮き彫りになった。(以下、データ類はすべてココナラ調べ)

◆シェアリングサービスについて

〇利用者の3人に1人は月に1回以上シェアリングサービスを利用、特に地方の専業主婦は5割以上が月に1回以上利用。
〇シェアリングサービスの満足度は84%、男性は若いほど満足度が高い。また、利用者の44%は既存のサービスよりシェアリングサービスの方が質が高いと回答。
〇その反面、個人間トラブルや個人情報漏洩などに対して不安を抱えながら利用しており、特に主婦や地方在住者ほど不安が大きい。
〇シェアリングサービスを本業で使いたい人は利用者の47%に達するが、トラブルへの懸念のほか、社内制度で許可されていないことが普及の障壁となっている。

〇シェアリングサービスを提供する場合、利用者の45%が月に5万円以上、21%が月に10万円以上の収入を期待、年齢が高いほど収入以外のインセンティブを求める傾向がある。
〇提供したいシェアリングサービスは男女ともに「モノ」が1位、男性は「移動手段、特技・スキル」、女性は「家事、特技・スキル」が続く。特に首都圏では「特技・スキル」が高い傾向にある。

◆スキルシェアについて

〇スキルシェアの認知は若い世代で働いている層が高く、認知層における利用率では高齢者や主婦が高い傾向にある。
〇スキルシェアについてもシェアリングサービス全体の傾向と同じく、地方の主婦が最も利用頻度が高く、利用者の56%が月に1回以上利用。
〇提供したいスキルは、男性が「旅行、ITスキル、家具組み立て、資料作成、デザイン」、女性が「買い物、託児・育児、子育て、料理、掃除」が上位にランクイン。

〇スキルシェア提供者のうち男性の2人に1人は月収5万円以上、主婦の9割が月収5万円未満。
〇スキルシェアを提供する理由は、男性は「自由に使えるお金を稼ぎたい」、女性は「時間と場所にとらわれない働き方をしたい」。

 ココナラ代表取締役でシェアリングエコノミー協会理事の南 章行氏は、シェアリングエコノミーの状況や、調査結果についてこう話す。

「日本のシェアリングビジネスとしては、ライドシェアはまだ事業者も少なく、モノ系を売買する、借りるといったものや、ココナラのようなクラウドソーシングやオンライン上でスキルを提供する方が比較的多いという印象がある。インターネットの特質ではあるが、地方だとマーケットにアクセスできないがネットを通じれば、物の売り買いやスキルの提供がやりやすいので、個人間取引にせり出しているのではないか。

 男女による月収差については、あくまでココナラ内での推測だが、女性の場合、自信がなかったものがお金につながる喜びが強い気がする。特に主婦の方は社会との接点が少ないので、自分の存在が誰かに求められるとか、ちょっとでもお金になるという事実がうれしいという方が結構いると思われ、だからこそ少し稼げれば十分という人が多いのかもしれない。一方の男性はわざわざやるからには副業として意味がある金額に持っていきたいという考え方があるのではないか。

 感覚値としては、ココナラで稼いでいる人の上位は地方が多い。地元でのビジネスチャンスは少ないがネット上では全国で仕事ができるメリットを感じて、本業という意識を持ってやっている方が地方には多いのかもしれない。

 今回の調査により、シェアリングエコノミーの普及によって収入源や自己実現の選択肢が広がり、日常生活やビジネスシーンにおいてより身近なものになってきている実態が明らかになった。人口減少や経済低成長などの社会課題に対する解決策のひとつとしても注目が高まっているシェアリングエコノミーの可能性を改めて感じている」

◆日本が目指すべきシェアリングエコノミーの形は?

 南氏はシェアリングエコノミーが最も進んでいる地域のひとつ、オランダ・アムステルダムを視察。環境問題、駐車場不足、景観の回復などがキーワードになっており、ベンチャー的な事業内容にも関わらず、大手資本によるシェアエコが進んでいると報告。シェアビジネスは儲けるためではなく、サステナブルな意識が強いことを感じたという。

 現状のシェアリングエコノミーは大きく分けてアメリカ型とヨーロッパ型に分類される。

 規制緩和、破壊的イノベーション、グローバルスケールを目指すアメリカ型はプラットホームビジネスの傾向が強い。一方、ヨーロッパではローカルコミュニティとして社会課題の解決、市民(ユーザー)主導、サステナビリティを目指す市民経済の傾向がある。

「日本はここまで議論できるところまで到達していない。東京はアメリカ的、地方はヨーロッパ的といえるかもしれないが、そのままの文脈で語れるものでもなく、ここを分けて法律を作っていかないと視点が交じってしまうので、切り分けて普及させていきたい」(南氏)

 シェアリングエコノミー協会では昨年から認証制度を準備している。同協会事務局長で、内閣官房シェアリングエコノミー伝道師でもある佐別当 隆志氏はこう話す。

「日本人はシェアリングにおける不安、トラブルに対する意識が高くて、このまま普及促進しても怖くて使わないという人が多いと思われる。健全にシェアリングエコノミーを広げていくために、官でガイドラインを作ってそれに沿ったルールを作る官民共同で進めていくことになった。シェアリングはさまざまな産業が関わっており、共通のルールを作るのは難しい。ライドシェア、民泊といった対面のサービスもあれば、インターネットだけで完結するものもある。最終的に、生命や財産にかかわるシェアサービスとそれ以外のサービスという二段階に基準を分けることになった。子どもを預かる、自宅に人を招く、密室空間で行われるというものは厳しいガイドラインにした方がいいと判断。有識者による第三者委員会を立ち上げて助言をいただきながら、今年の7月に第1号認証として6つのサービスの認証をスタートした」

 世界のシェアリングシティは大半が大都市で、日本でも政令指定都市に向けて協会が提案していたが、実際は人口5万人以下の自治体からの問い合わせが圧倒的に多かったという。日本の場合、シェアサービスが最も求められているのが地方で、まちづくりのモデルとしてシェアリングエコノミーが必要になるのではないかと、シェアサービスを行う地域を30に増やすために推進している。

 一例を挙げると、公共交通機関が壊滅的な状態で、冬の間に高齢者の事故率が上がっている北海道では、昨年から中頓別町でウーバーが参入してライドシェア実験をスタート。合法の範囲内でライドシェアするなら白ナンバーでもOKというもので、地域でボランティアのような形でウーバーのアプリを使って相乗りする。スマホやタブレットが使えない高齢者に向けて、自治体が電話窓口を作り代わりにアプリで配車したり、商店街などにiPadを無償で貸し出して店主などが代わりにアプリを操作する。

 天塩町では天塩~稚内間を、相乗りプラットフォーム「notteco」の長距離に特化したライドシェアサービスを自治体が活用。病院が稚内空港方面にしかなく交通機関が極端に少ないため、通勤者、空港利用者などが使う車を相乗りで利用する試みを今年からスタートさせた。

 こうした地方でのシェアサービスの取組みは、厳しい規制をクリアする必要があるが、政府は成長戦略でシェアリングエコノミーの推進を掲げており、道路運送法を緩和して過疎地の特例を設けた。規制緩和が進めばさらに新しい形のシェアリングサービスが出てくると思われる。

「ミールシェアは規制緩和して欲しいジャンル。食事を提供するには高コストで規制も多いが、自宅でおばあちゃんのごはんや郷土料理を提供できれば、旅行者にとっても魅力的で注目されるのではないか」(佐別当氏)

【AJの読み】安心、安全に利用できるルールが不可欠

 フリマアプリでは詐欺や偽物を売りつけられるなどのトラブルが現実に発生しているし、知らない人と相乗りするライドシェアはやはり不安。スキルのシェアもどこまで精度が高いのか判断に迷う。個人間取引のシェアリングエコノミーはこうした不安から、興味はあるもののなかなか利用できないという人も多い。しかし調査からも判明したように実際に利用した人の評価や満足度は高い。過疎地の交通対策やCO2削減、ホテル不足による民泊の活用などシェアエコに対するにニーズは増しており、認証制度がさらに整備されればシェアリングエコノミーはもっと身近な存在になっていくだろう。

文/阿部 純子

@DIME編集部

最終更新:10/23(月) 7:32
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