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21世紀の「中国の新皇帝」を警戒する米国

10/23(月) 6:10配信

JBpress

 中国の新皇帝を警戒せよ――。

 中国共産党の第19回党大会で、習近平総書記の権力と独裁体制が一層強まる展望が明らかになり、米国では注意と警戒の念が強まっている。米国内での反応はさまざまだが、国際戦略研究の大御所が懸念と皮肉とを交えて「そもそも習近平とは何者なのか」という論考を発表した。

 習近平氏のこれまでの経歴から党大会後の立ち位置を予測したこの論考は、従来の中国専門家の分析とは一風異なっており、米側専門家たちの間で関心を集めている。

■ 「21世紀の中国の皇帝」になる習近平氏

 この習近平論を発表したのは、ハーバード大学ケネディ行政大学院の初代院長で、現在は同大学の国際問題研究センター所長を務めるグレアム・アリソン氏である。

 同氏は、国際戦略に関する長老の専門家であり、キューバをめぐる米国とソ連のミサイル危機を分析した『決定の本質』という著書は特に評価が高い。クリントン政権では国際政策担当の国防次官補を務めた。近年は米中関係の研究結果も発表している。

 アリソン氏は米国大手紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」(10月16日付)に「中国の新皇帝を警戒せよ」という見出しの論文を公表した。習近平国家主席が共産党大会を使って自己の権力の一大強化を図り、「21世紀の中国の皇帝」に等しい地位を築こうとしているという考察である。

 アリソン氏は同論文で、習氏は中国共産党の歴史の中でこれまでにない勢いで権力強化を進めており、米国側は、その野望の実態や今後の中国がどう変わっていくか、習氏がどんな立場の人物となるのか、などを知らねばならないと警告している。

■ 「習氏は世界で最も驚くべき指導者」

 アリソン氏の習近平論のポイントを5つにまとめると以下のとおりである。

 第1に、習近平氏は中国共産党の歴史の中で、毛沢東主席以来、最も強大なパワーを有する指導者となりつつある。そのパワーは、鄧小平氏をすでに上回ろうとしている。鄧氏が現在の中国の経済発展への道を切り開いたことを考えれば、習氏の地位の強化や権力の掌握は特筆に値する。

 第2に、習氏は現在の世界で最も野心的な指導者だといえる。経済力強化、軍事力強化、ナショナリズムとプライドの回復、党の活性化と権力強化という4つの目標を「中国の夢」「中華の復権」という標語の下に同時に目指している。「米国を再び偉大に」というトランプ大統領もはるかに及ばない。

 第3に、習氏は世界で最も驚くべき指導者である。2012年に最高指導者となったときは、特徴のない名目だけの元首とみられていたが、その後、独特の手腕と決意でカリスマ的な独裁を強めていった。しかも習氏は鄧氏の「轁光養悔」(才能や力を隠す)策を捨てて、「一帯一路」など野心的なスローガンを乱発した。

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最終更新:10/23(月) 6:10
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