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長友佑都、体現される充実ぶり。前半苦しむも後半に立て直し、確信があればこその修正力

10/31(火) 18:11配信

フットボールチャンネル

 30日、セリエA第11節の試合が行われ、インテルはヴェローナに2-1で勝利した。第8節のミラノダービー以降、メンバーが固まりつつあるネッラズーリにあって、長友佑都は5試合連続で先発出場。前半こそ苦しんだものの、後半には堅実なプレーを披露した。難しい状況から立て直せるところに、ここ最近の充実ぶりが現れていると言えそうな一戦であった。(取材・文:神尾光臣【イタリア】)

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●前半こそミスが多かったが…。試合のなかで修正できる充実ぶり

【ヴェローナ 1-2 インテル セリエA第11節】
【得点者】
36分 0-1 ボルハ・バレホ(インテル)
59分 1-1 ジャンパオロ・パッツィーニ(ヴェローナ)
67分 1-2 イヴァン・ペリシッチ(インテル)

「最初のうちはチームの安定性を模索しなければならなかった。だが今この選手たちは、試合に出る資格があることを証明してきた。問題がないのなら、この11人をわざわざ変える理由はない」

 エラス・ヴェローナ戦の前日の29日、インテルのルチャーノ・スパレッティ監督は記者会見でこのように語り、第8節ミラノダービー以降に固まったメンバーへの信頼を明らかにした。

 その中には当然、左サイドバックの定位置を手中にしている長友佑都も数えられている。今季は左にダウベルト、また右にジョアン・カンセロとサイドバックには大型補強がなされたが、「彼らはまずイタリアのサッカーに順応しなければならないし、長友も(ダニーロ・)ダンブロージオもいいプレーをし続けて来た」と指揮官は評価を口にする。

 実際長友は説得力のある内容のプレーを披露し、チームの結果に結び付けてきた。日々のトレーニングと節制でコンディションを上げ、練習を通して戦術を吸収、そしてピッチ上で成果を発揮する。最近の試合では攻守両面でのキレと高い集中力を見せ、前節サンプドリア戦では交代の際にスタンドからスタンディングオベーションで迎えられた。

 そして彼は、エラス・ヴェローナ戦でも先発フル出場。前節ほどに内容は良くはなく、むしろ前半はミスも多かった。しかし今回はそれをきちんと試合の中で修正し、内容を堅実にまとめたところに、プレーの質の向上とコンディションの充実ぶりが現れていた。

●DFラインの一角として機能することを優先

 立ち上がり、長友は苦労していた。6分、高い位置でルーズボールを拾ってパスを出したところ、味方の連動を見誤ったのか敵の密集地へのミスパスとなってしまう。

 すると3分後には、カウンターへの対応の際イヴァン・ペリシッチとマークをスイッチしたところ、オーバーラップをしたロムロに付き遅れ、フェイントで抜かれてクロスを上げられた。ロムロに対してはその後もフェイントに引っかかってクロスを許し、またパスの失敗からカウンターをくらうことも続いた。

 チーム全体としてもミスが多く、18位に低迷するエラス・ヴェローナの状態の悪さに救われている展開。前半は、チームに必要とされる安定感を長友が提供できていたとはいえず、サンプ戦からは一歩後退の内容だった。

 しかしその後半で、長友はきっちりと締め直した。守備におけるポジショニングを修正することで、再び堅実な守備対応ができるようになったのだ。

 自分のサイドで相手ボールになった際はむやみに前方で掴もうとせず、まずは4バックの一角として最終ラインを整えることを優先した。相手が突破を仕掛けて来ようとするスペースを先んじて埋め、またそこへのコースを切ることで、背後に侵入されるリスクを消した。

 相手のカウンターよりも早く4枚を揃えたインテルのDFラインは、高い位置を保ちながら攻撃を遅らせ、戻ってきたMF陣にボールを刈り取らせる。ディフェンスラインの一角として機能することから安定を取り戻した長友は、1対1での対処でも修正に成功した。

●苦しい試合のなかで果たした貢献

 ロムロが攻め上がってきても、きっちりコースを切って立ちはだかり、ボールを絡め取ってクロスを許さない。アレッシオ・チェルチが裏のスペースに切り込んで来ても、冷静に対処した。75分、エリアの中に入ってきたそのチェルチに対し、コンタクトを恐れずしかもノーファウルでボールを奪い大きくクリア。

 前節のサンプ戦後、長友は「コンディションが良くて、自信を持ってプレーしているぶん遠くが見えている」と語っていた。今回は培われた自信というものが、集中力があり落ち着いていた後半の守備に発揮されたということなのだろう。しかも前半の良くないプレー内容から修正した上でのこと。自らのコンディションや戦術理解に対する確信があればこそ、何をすべきかがちゃんと見えるのだろう。

 そんな長友の姿勢は、応援にやってきたインテリスタたちにも理解されていたようだ。アディショナルタイムで相手ボールをカットし、プレースを掛けてきた敵をかわしドリブル突破を猛然と図った長友に対し、アウェイ席からは歓声と拍手が上がっていた。

 チームは2-1で勝利。ビルドアップのミスからPKを献上し一度は追いつかれるなど、チームとしても内容の良くない試合だったのだが、試合後にスパレッティ監督は「チームとしての確信がまた伸びた。全てに渡って良い試合だった」とあえて褒めた。苦しい試合でもものにできる自信の高まりを評価していると解釈できる。

 今回の試合で、長友が果たした貢献はそういったところにあった。セリエAの上位争いは、近年になく熾烈なものになっている。チーム共々確信をさらに深め、素晴らしい結果を出せるかどうかに注目したい。

(取材・文:神尾光臣【イタリア】)

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