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長友佑都、アシストつかずもクロスで絶好機演出。インテルで好調のまま日本代表合流へ

11/6(月) 17:20配信

フットボールチャンネル

 5日、セリエA第12節が行われ、インテルはトリノと1-1で引き分けた。長友佑都は6試合連続で先発出場。守備では堅実な対応を見せ、攻撃では絶妙なクロスからチャンスを演出し存在感を示した。これでリーグ戦はいったん中断し代表ウィークに入るが、インテルでの好調を日本代表に還元できるだろうか。

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●戦術的にインテルのプレーを潰してきたトリノ

【インテル 1-1 トリノ セリエA第12節】

【得点者】
60分 0-1 イアゴ・ファルケ(トリノ)
79分 1-1 エデル(インテル)

「監督は僕を信頼してくれた。そしてコンディションは良い。(ルチャーノ・)スパレッティ監督の指導で、確かに守備は良くなっている。戦術面の練習を日々しっかりと積んでいる。だから何をしなければならないか、僕たち(選手)はみんな理解している」

 5日のインテルvsトリノ戦直前で、インテルDF長友佑都が地元TVのインタビューにイタリア語でこのように応えていた。セリエAのテレビ中継では、両チームの選手が各1、2人ずつ試合前インタビューに応じるのが通例になっている。この日、インテルでは長友がその”当番”にあたっていた。

 さらに長友は、こうも言っていた。「いい選手がたくさんいるから今日は難しい試合になるだろう。ただ僕たちはインテルだし、特にホームでは常に勝たないといけない」

 しかし、その結果は1-1のドロー。6戦連続でスタメン出場を飾った長友も、一点ビハインドで迎えた78分に交代を命じられた。選手個人としてのパフォーマンスに悪い印象はなかったが、今回は勝利という結果に結びつかなかった。

 まずチーム全体が、厳しい試合を強いられていた。イタリア代表FWアンドレア・ベロッティを筆頭に実力者を揃えるトリノは、鬼軍曹シニシャ・ミハイロビッチ監督の指揮に従い、きびしく戦術的にインテルのプレーを潰すサッカーをしてきた。

 狙い撃ちにしたのは、パスの組み立ての源泉となるところだ。スパレッティ監督のもとではCBと2枚のボランチからスタートさせる縦への速攻をベースに闘っているが、トリノはそこにプレッシャーを掛けた。彼らがボールを持てば必ず人が付き、厳しい当たりでボールをまともにキープさせない。

●長友は好守ともにコンスタントな仕事をこなす

 これまでの戦いでサッカーの内容でも向上を見せ、ワンタッチでパスを回して相手を翻弄するようなプレーも見せていたインテルだが、それが阻害された。球際の激しさの前に中盤はたじろぎ、ボルハ・バレーロにボールを預けようとするとあっという間に囲まれた。こういう中でパスミスも連発し、インテルは思うように攻撃の組み立てができなくなっていた。

 一方左サイドバックの長友には、トリノの右ウイングであるイアゴ・ファルケがマッチアップしていた。スピードと裏への飛び出しに長けるサイドアタッカーだが、長友自身は堅実な対応ができていた。

 イアゴ・ファルケが裏を狙おうとすれば、先んじてカバーに入りスペースを消す。後方でボールを繋ごうとした際に相手がプレスを掛けてきても、冷静にボールの前に体を入れながらキープし味方に回す。空中戦で上を狙われない限り、ボールを自分の背後に通させてはいなかった。

 また今回は、攻撃面でもコンスタントに仕事ができていた。イアゴ・ファルケがカバーするよりも早く、前線に走る。6分にイバン・ペリシッチとのパス交換からグラウンダーでクロスを入れ、これがボルハ・バレーロのスルーを経てマウロ・イカルディへと渡る。

 16分にはサイドでDFを縦に抜いて左足でクロスを挙げた。36分には左足で裏のスペースへ縦パスを放ち、ペリシッチを走らせるという最近得意のプレーでチャンスを作っていた。

 中でも、後半立ち上がり早々49分のプレーは実に惜しいものだった。左サイドでボールをキープすると、イアゴ・ファルケがプレスを掛けてくる。それを軽快なボールコントロールでかわして中へ切り込み、右足でアーリークロスを上げる。これが、前線に飛び出していたマティアス・ベシーノの頭を正確に捉えた。

 残念ながら、彼のヘディングシュートはトリノGKサルバトーレ・シリグの好セーブに阻まれることになる。これがゴールという結果に結びついていたのなら、アシスト役の長友自身も立場を一層盤石なものにできたことだろう。

●日本代表にインテルでの好調ぶりを還元できるか

 もっともそれだけ良いプレーをしながら、先制点をイアゴ・ファルケに決められてしまうというのも悔しいところだった。

 その60分の失点シーンだが、長友がイアゴ・ファルケに抜かれた末に決められたという類のものではなかった。選手間の間で意思疎通がうまく行かず、相手の右SBロレンツォ・デ・シルベストリがフリーでオーバーラップをしてきた。

 そこに長友がスイッチをすると、中へとしぼったイアゴ・ファルケの動きを他に見るものはなく、フリーになってしまう。あとはミランダが抜かれて、ミドルシュートをねじ込まれたという始末だ。

 直接失点に絡んだとは言えない状況だったが、結果的にイアゴ・ファルケがゴールを決めてしまったということで地元紙の評価は多少辛くなるだろう。プレー内容としては悪くなく、少なくとも前節エラス・ヴェローナ戦前半の乱調よりは遥かに良くなっていた。それだけに、勝利に結びつかなかったのが残念だ。

 その後も長友はプレーするが、終盤にシステムを3-5-2に変更することを決めたスパレッティ監督の決断によってベンチに下がった。その際スタンドからは温かい拍手が上がっていたが、選手本人の気持ちとしてはやはりチームを勝たせたかったところだろう。

 ここからは代表ウィーク。今までの好調ぶりを日本代表にも還元すると共に、所属のインテルに戻ってくる際も良いムードを持って帰ってほしいものである。

(取材・文:神尾光臣【イタリア】)

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