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原口元気、ブラジル戦にかける復活への覚悟。イメージはバイエルン戦、求められる明確な結果

11/9(木) 15:10配信

フットボールチャンネル

 日本代表は現地時間10日、ブラジル代表との国際親善試合に臨む。先発出場と見られている原口元気だが、所属クラブでは満足な出場機会を得られていない。様々な要素が絡み合って不遇の時期を過ごしている26歳は、ヘルタ・ベルリンで居場所を奪い返し、ロシアW杯への道を切り開くためにも貪欲に結果を追い求めていく。(取材・文:元川悦子【リール】)

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●クラブで出場時間激減の原口、ブラジル戦に先発へ

 11月10日のブラジル戦(リール)に向け、現地で調整中の日本代表。大一番を2日後に控えた8日も約2時間にわたって非公開で入念にブラジル対策を確認した。

 井手口陽介(G大阪)が「どうブロックを作るとか、どういうはめ方をするとか、ホントに細かく入念に確かめているんじゃないかなと思います」と話したように、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は1つひとつの状況を想定しながら戦術を選手たちに叩き込んだ様子だ。

 メディアに公開された冒頭15分間では、指揮官が選手を複数色のゼッケンでチーム分けした。ピンク組はスタメンが予想される酒井宏樹(マルセイユ)、吉田麻也(サウサンプトン)、槙野智章(浦和)、長友佑都(インテル)と長谷部誠(フランクフルト)。彼らと組み合わせられそうな攻撃陣中心の白組には山口蛍(C大阪)、長澤和輝(浦和)、久保裕也(ヘント)、原口元気(ヘルタ・ベルリン)、大迫勇也(ケルン)、興梠慎三(浦和)の6人が入った。

 浦和レッズのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝第1戦が19日にあることから、もともと浦和勢はブラジル戦がメインではないかと見られたが、その確率はより一層高まった。今回初招集の長澤は世界屈指の強豪相手に代表初キャップを飾ることが大いに考えられる。

 前日までは8月31日の2018年ロシアW杯アジア最終予選・オーストラリア戦(埼玉)に先発したメンバーの出場が有力視されていたが、8日の練習通りなら、左FWは原口が試合の頭から出場することになる。

 今季のヘルタ・ベルリンでは移籍騒動の余波もあって苦悩の日々を強いられ、日本代表10月シリーズ(ニュージーランド戦&ハイチ)以降は10月14日のシャルケ戦の前半44分間と、11月2日のヨーロッパリーグ(EL)ゾリャ・ルハンスク戦の後半14分以降の2試合しかピッチに立っていない。

●イメージはバイエルン戦。「ふらっとサボる時」を狙う

 しかもシャルケ戦ではイライラが募って一発退場。2試合出場停止になったことで、チーム内での序列がさらに下がってしまった。自ら招いた出来事とはいえ、浮上のきっかけをつかみつつあった時期だけにダメージは大きかったはずだ。

「ここ(代表)に対してモチベーションがあったから、ヘルタでもいいトレーニングを積んでこられた」と本人は目を輝かせる。「やっと自分を表現できる場ができるので、存分に苦しみにいきたい。苦しまないと勝てない相手なので、苦しみにいく覚悟で臨みたい」と背番号8はここまでの悔しさを爆発させるべく、ワンチャンスを虎視眈々と狙っていくつもりだ。

 対面には、ハリルホジッチ監督が「ブラジルの攻撃の中心になっている」と指摘するダニエウ・アウヴェス(PSG)がいるため、守勢に回る時間が長くなるのは間違いない。普段以上にデュエルの強さ、タッチライン際のアップダウンやハードワークも求められてくるだろう。

 しかしながら、どんな強豪チームでも集中力の切れる時間が少なからずある。それを原口はバイエルン・ミュンヘンやボルシア・ドルトムント相手に実体験しているのが強みだ。「バイエルンとやるイメージで僕は戦うつもりです」と本人もキッパリ言う。

 実際、10月1日のバイエルン戦に挑んだヘルタ・ベルリンはマッツ・フンメルスとロベルト・レヴァンドフスキに2点を奪われながら、最後は2-2に追いつくしぶとさを見せた。原口自身も後半6分、強引なペナルティエリア内のドリブル突破からオンドレイ・ドゥーダの1点目をアシスト。反撃の火付け役となっている。

 この場面に象徴される通り、「相手がふらっとサボる時は必ずある」と原口も強調する。親善試合のブラジルならば、なおさらその傾向が強いだろう。そのスキを突けるか否か。それが日本がサプライズを起こせるか否かの最大のポイントかもしれない。

●求められる明確な結果。自らの手でロシアへの道を切り開く

「バイエルンとやる時は、耐えながらなんとかボールを運んでっていう感じで、とにかく慌てないことですかね。(ボールを)取った時にまたすぐ取られてしまうときついので、取った時にどれだけ落ち着けるか。そこが肝心だと思います。あのブラジルが組織でやってるので、中はやっぱり堅いと思う。だからこそ、サイドから崩していくことが必要になる。サイドバックと2対1を作れたりするシーンももしかしたらできるかもしれない」と長友と組むであろうタテのホットラインを最大限有効活用することも視野に入れていくという。

 ボスニア人指揮官も、原口が合流した6日にはつきっ切りでサイドアタックを指導。65歳の老将は自ら左サイドのドリブル突破をデモンストレーションして見せ、インサイドハーフやサイドバックとのワンツーから中に入っていくプレーを原口に要求していた。

 本田圭佑(パチューカ)、岡崎慎司(レスター)、香川真司(ドルトムント)のビッグ3がメンバーから漏れた今回、W杯アジア最終予選4試合連続ゴールという勝負強さを示してきた原口にはより一層、ゴールへの期待が高まる。日本代表では昨年11月のサウジアラビア戦(埼玉)から数字を残していないだけに、そろそろインパクトの大きな仕事をしなければ、本当にロシアへの道のりが危うくならないとも限らない。

 日本代表でゴールを取りまくっていた時はヘルタでも絶好調だったが、今はその逆。それでも結果を残さなければならないのがプロフェッショナルである。数々の修羅場をくぐり抜けてきたこの男には、その厳しさがよく分かっているはず。このブラジル戦で目に見える結果を残せば、直近の11月5日のヴォルフスブルク戦でベンチ外になったクラブでの苦境打開の糸口もつかめるのではないか。

 そういう意味でも、今回の一戦は原口元気にとって単なるフレンドリーマッチではない。自分自身のキャリア、そしてロシアW杯行きの夢を賭けて、持てる力の120%を出して戦い抜いてもらいたい。

(取材・文:元川悦子【リール】)

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