ここから本文です

政府が目論む増税策 サラリーマンの次は年金生活者が標的

11/10(金) 16:00配信

マネーポストWEB

 財務省は衆議院選挙の投開票翌日の政府税調の総会に所得税改革の説明資料を提出した。そこには、サラリーマン、年金生活者など低所得の非課税世帯まで国民に広く網をかける所得税の増税メニューがズラリ並んでいる。本来選挙の公約だった消費税以外の増税策であり、まさに“騙し討ち増税”だ。

 所得税増税の第一のターゲットはサラリーマンだ。政府税調の増税メニューには「給与所得控除」の廃止・縮小の検討が盛り込まれている。たとえば、年収632万円のサラリーマンの場合、現在は180万5000円が控除されているが、これを25万円とする案を提示している。財務省の試算によると、衣料品は月額1782円で「つきあい費」は978円となるなど、とんでもない水準で計算されている。こうしたサラリーマンに続くターゲットにされているのが年金生活の高齢者だ。

 年金収入には120万円の「公的年金等控除」が認められ、夫婦2人世帯なら基礎控除や配偶者控除を合わせると年収208万円以下は実質的に非課税になっている。老後の生活を支えるための当然の制度だ。だが、財務省は政府税調でこの控除を引き下げるべきだという議論を始めた。

〈働く高齢者が増え、高額な報酬を得ながら年金を受け取る高齢者も増える。そのため、給与にかかる控除と年金にかかる控除の「二重取り」の問題が指摘されている〉(日経電子版)

 サラリーマンの給与所得控除を「恵まれている」と縮小して大増税し、次は年金生活者は「サラリーマンよりもっと恵まれている」とこちらにも増税する。イソップの狐のようなずるがしこさだ。経済ジャーナリストの荻原博子氏が言う。

「給与所得や年金の控除は収入の低い人の税負担を軽くする所得の再分配のための仕組みです。しかし、財務省はこれまでも控除をどんどん減らしてきた。控除を全部なくして低所得者まで含む国民に広く浅く課税し、非課税世帯をなくしたいというのが悲願なのではないでしょうか。それを判で押したように“高所得者が優遇されている制度を改正する”という理屈で国民を騙しながらやろうとしている」

 そもそも政府は高齢者に65歳を過ぎても“元気で働け”と勧め、年金と給料の合計額が一定額を超えると年金をカットしている。働く高齢者の年金返上分は事実上の増税なのだ。

 そのうえ、年金控除が廃止された場合、月額15万円の年金を受給している高齢者(65歳以上)は所得税・住民税が年間18万円もアップする。年金の1か月分以上が税金で持って行かれ、他に収入がない年金生活者はその間飲まず食わずで食いつなげと迫るようなものだ。

 こんな亡国の税制が罷り通っていいのか。

※週刊ポスト2017年11月17日号

最終更新:11/10(金) 16:00
マネーポストWEB

記事提供社からのご案内(外部サイト)