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蒼井優が生徒のやる気を引き出した「ペップトーク」とは? 『先に生まれただけの僕』に新展開

2017/11/12(日) 14:10配信

リアルサウンド

 学校改革のためにアクティブラーニングを取り入れ、“生徒主体”となる学校づくりをスタートさせたとはいえ、あくまでも鳴海校長(櫻井翔)を中心にした、教師たちの物語が描かれてきたドラマ『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)。ところが11月11日に放送された第5話は、そこから打って変わって、生徒たちが中心となって“生徒主体”らしい動きを見せていく。

『先に生まれただけの僕』第5話 場面写真

 受験者数を増やすために、“顧客獲得”のためのプレゼン”であるオープンキャンパスを何としても成功させたいと考えた鳴海は、生徒に自ら学校を盛り上げるイベントを企画させることに。そこで真柴(蒼井優)の力を借りるのだが、生徒たちのやる気を巧みに引き出した真柴に鳴海は「ペップトーカーだったんですね!」と言うのである。

 この「ペップトーク」というものが、学校を変えいくための重要なキーワードとなる。組織全体の覇気を上げ、まとめるために用いられるこの「ペップトーク」は、「モチベーショナルスピーチ」と言われるもので、主にスポーツの指導に使われてきた。教育の場で用いるならば、いわゆる「ピグマリオン効果」と呼ばれるものに近いだろう。 

 ただ「褒めて伸ばす」という考え方に留まらず、ひとりひとりの能力を発揮させるため、ポジティブで心に響く言葉を投げかけていく。「何でできないのだ」ではなく、「どうやったらできるのか」を考えさせることで、生徒のモチベーションを上げていくというもの。いわばこれまで取り上げられてきた「アクティブラーニング」が、この延長線上にあるものだと考えてもいいだろうか。

 そして生徒たちは、鳴海の考える「学校を変えたい」というひとつのテーマに向かって、オープンキャンパスの成功のために躍起になる。その中で、学校を代表してコンクールに出場した経験を持つ生徒に、交渉を試みる生徒たちの姿が実に印象的で、まるで鳴海がしているような「ビジネス」のように、相手の立場に立って交渉を進めていくのだ。鳴海がいかに生徒の心を掴んでいるかがよくわかる。

 今回のエピソードの終盤を飾るオープンキャンパスの場面は、生徒たちの主体性が遺憾なく発揮されていく。弓道部の生徒をはじめ、これまで物語の片隅にちらりと登場してきただけの生徒たちが、自分たちの強みを生かし、学校だけでなく自分自身をアピールする様が華やかに描き出され、最後には生徒全員が校歌を斉唱するのだ。これまでのような学校ビジネスの裏側、教師の関係性や会社の思惑よりも、やはりこういった生徒たちの“実例”が映し出されるほうが直に心に響くのではないだろうか。

 もちろん、教師たちの物語も同時進行で進んでいくのだが、それがオープンキャンパスというフィナーレの場で、生徒の物語としっかりと交わっていくのもまとまりが良い。鳴海が樫松物産の社長にオープンキャンパスのプランを直訴したことに苛立ちを感じた加賀谷(高嶋政伸)は、鳴海に反対する教師を探し、学校改革反対派の3人の教師の中から、郷原(荒川良々)を呼び出す。そしてオープンキャンパスを失敗させようと画策し、これまで通りの退屈な授業を促すのだ。

 ところが反対派の残り2人は、退屈とはかけ離れた授業を繰り広げて生徒たちを魅了し、学校の理事長でもある社長を魅了していく。この2人の心が動かされた経緯こそ少し曖昧に描かれているとはいえ、「ペップトーク」の本を読んでいたことが明らかになるという、思わずニヤリとしてしまう展開。生徒に対してだけでなく、教師たちの物語にも作用する「ペップトーク」。このドラマにまた新たな要が登場した。

久保田和馬

最終更新:2017/11/12(日) 14:10
リアルサウンド