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ウイング立てて直線伸びず。なのにアロンソはホンダ批判という理不尽

11/15(水) 8:10配信

webスポルティーバ

 第19戦・ブラジルGP予選後の技術ブリーフィングを終えて、フェルナンド・アロンソはスタッフ間の会話用インターコムを外してからこう言った。

◆こちらのホンダはイタリア人にリスペクトされ感動のフィナーレ

「これはダウンフォースつけ過ぎなんじゃないか? これじゃ明日のレースでは抜けないし、相当厳しいだろ?」

 予選は7位。ダニエル・リカルド(レッドブル)のグリッド降格でひとつ繰り上がるが、前にはフォースインディアのセルジオ・ペレス、後ろにはウイリアムズのフェリペ・マッサと“直線番長“に挟まれている。

 しかし、アロンソが最高速を気にしてダウンフォース量を指摘した理由は、そればかりではなかった。

 マクラーレンは金曜日にダウンフォースを軽めに抑えたセットアップをトライしていた。その時点ではアロンソの最高速が325.8km/h、ストフェル・バンドーンが327.3km/hまで伸びていた。予選の最高速に照らし合わせれば、全体で8番手にあたるスピードだ。つまり、非力なホンダ製パワーユニットといえども、セットアップによってはこのくらいの最高速は出るのだということが証明された。

 しかしMCL32は、そのダウンフォース量では満足のいく挙動を確保できなかった。結果、土曜日にはいつも通りダウンフォースをしっかりとつけて、コーナーは安定して速いが、最高速はアロンソが316.2km/h、バンドーンが315.5km/hと、それぞれ10km/h前後下がってしまった。

 金曜には抑えているエンジン出力を、土曜には最大限に絞り出す――。もし金曜のままのセットアップで走っていれば、最高速はさらに伸びていたはずだったのに、これだけ下がってしまうほどウイングを立て、巨大なガーニーフラップをつけて車体の前傾姿勢を強めたのだ。

 マクラーレンのエンジニアリングディレクターを務めるマット・モリスは、それが最速タイムを記録するためのベストな選択だったと説明する。

「ここはストレートスピードとインフィールドのバランスが非常に重要で難しいサーキットだから、そのバランスを探ったんだ。当然ながら、決勝での競争力を考えると最高速はほしい。しかしダウンフォースを削ると、セクター2を速く走ることができない。結果的に、土曜日に向けてダウンフォースをつけることが、我々にとってはベストな妥協点だとわかったんだ」

 マクラーレンの車体はドラッグ(空気抵抗)が大きい。その事実はモリスも認める。しかし、それは車体が持つ特性ではなく、速さを引き出すためにウイングを立てているからだと説明する。

「それは我々がダウンフォースをつけているからだ。不思議なことを言っているように思われるかもしれないけど、もしもっとパワーがあればダウンフォースを削り、ストレートで稼ぐ方向のセットアップにすることもできるんだ。しかし現状の我々は、ダウンフォースを削ったとしてもストレートで稼ぐことができない。その一方で、コーナーでもロスすることになってしまう。だから、パワーがないからこそダウンフォースをつけてコーナーで稼ぐほうにいくしかないんだ」

 しかし、ホンダのあるエンジニアはそれに反論する。

 マクラーレンが目指しているのは「最速タイムの出せるマシン」ではなく、ドライバーが「走らせやすいマシン」なのだという。

「それが最速の妥協点ではないと思います。今回はメルセデスAMGやフェラーリでさえ、スピンやコースオフしているくらいだったじゃないですか? それでもマクラーレンはビシッとしていて、コースオフなんかしません。

 それが金曜日は、ダウンフォースを削ったらストフェルがターン2でスピンして、『ほら、やっぱり走れないじゃないか』という状況になった。トップチームでさえ、そのくらいギリギリのところまで攻めてダウンフォースを削っているのに、マクラーレンはしっかりダウンフォースをつけて、ドライバーが走らせやすいクルマを作ってしまっているんです。

 マクラーレンは伝統的に、そういうエンジニアリング方針のチームなんです。ドライバーの不満には絶対に応える、対応するっていうのが彼らの方針ですから。その結果、走りにくいけど速いマシンではなくて、ドライバーが走りやすいマシンに仕上がることになる。『こっちのセッティングのほうが速いから、後はお前ががんばって走ってこい』とドライバーに言えないチームなんですよ」

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最終更新:11/15(水) 18:34
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