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『Fate/Apocrypha』2期EDでも話題、ロック・ポップシーンにも響くASCAの魅力的な“声”

11/15(水) 17:10配信

リアルサウンド

 LiSAの「ASH」がオープニングテーマとなっているTVアニメ『Fate/Apocrypha』(TOKYO MXほか)の2期。そのエンディングテーマ「KOE」を歌っているのが、この曲でメジャーデビューを果たしたASCAだ。ダイナミックなパワー、エモーショナルな表現力を兼ね備えた歌声はここから、大きな注目を集めることになりそうだ。

 1996年生まれのシンガー大倉明日香のソロプロジェクト、ASCA。中学生の頃からロックバンドのボーカリストとして音楽活動をスタートさせた彼女は、第5回『全日本アニソングランプリ』(2011年)で約1万人の応募のなかからファイナリストに選出され、2013年、TVアニメ『さくら荘のペットな彼女』の後期エンディングテーマ「Prime number ~君と出会える日~」をリリース。さらに2016年にはミニアルバム『デイズ』をiTunes限定配信するなど、着実にキャリアを積み重ねてきた。そして2017年にASCAとして始動。アニメ音楽誌『リスアニ』誌上でオリジナル楽曲「RUST」を発表(CDを特別付録として同梱)、シングル「KOE」で本格的なデビューを飾ることになる。

 シンガーとしてのASCAのポテンシャルの高さは、「KOE」からもしっかりと感じ取ることができる。関ジャニ∞、春奈るな、藍井エイル、瀧川ありさ、あゆみくりかまきなどの楽曲を手がけるSakuの作詞作曲によるこの曲は、生々しいロックサウンドとドラマティックなメロディライン、クラシカルなストリングスが絡み合うナンバー。緻密に構築されたリズムアレンジ、起伏に富んだ旋律、まるでオペラのように展開していく構成など、きわめて難易度が高いこの楽曲を、彼女は正確なピッチと豊かな表現力によって見事に歌いこなしているのだ。特に<いらないよ いらないのに/心は居場所求めて>というフレーズにおける繊細な感情表現は絶品だ。

 「KOE」に関してASCAは「エンディングを担当させて頂くと知った時、このような素晴らしい作品に携われる驚きと喜びで言葉が出ませんでした。現在放送されている1stクールのシーンを胸に、登場人物の交差する感情を思い浮かべながらレコーディングに臨みました」とコメント。この言葉からは、アニメと音楽を結びつけることに対する矜持が真っ直ぐに伝わってくる。

 幅広いジャンルのクリエイターとのコラボレーションを重ねているのもASCAの特徴だ。シングルのカップリング曲「リインカネーション」のMVではデジタルアーティストwatabokuのイラストを起用。輪廻転生をテーマにしたロックチューンの世界観とASCAのミステリアスな雰囲気を見事に体現している。また「最低な朝と名付けたのは」のMVでは写真家・新保勇樹とコラボレーション。雨が降る夜の街のなかで傘を差して佇むASCAをモノクロ写真で切り取り、<心が求めるまま明日へ>などの刺激的なリリックと組み合わせることで鮮烈なイメージを描き出している。MVのフルバージョンは、シングルの初回限定盤付属のDVDに収録されるので、ぜひチェックしてほしい。

 楽曲、映像の高品質なクリエイションの中心にあるのはもちろん、彼女自身の声だ。歌の上手さ、表現の確かさだけではなく、声自体に色彩豊かな感情が宿っていることが最大の特徴だろう。ひとつの楽曲のなかで、悲しみと喜び、抑圧と解放といったアンビバレンツな感情をナチュラルに描き出す彼女の声質は、アニソンという枠に収まらず、ロックシーン、J-POPシーンにも強くアピールするはずだ(個人的には椎名林檎、持田香織などの影響を感じた)。そう、デビュー曲のタイトルに「KOE」という言葉を冠したことは、偶然ではない。

 ロックとポップスが共存したサウンドメイク、彼女の声の魅力を存分に活かしたメロディ。「KOE」でメジャーシーンへ進出したASCAがこの先、どんな音楽を表現し、どんなアーティストになっていくのか。その進化の過程をしっかり注視していきたいと思う。

森朋之

最終更新:11/15(水) 17:10
リアルサウンド