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30歳のトライアウト。手術、育成、戦力外でも「元怪物」は終わらない

2017/11/17(金) 11:40配信

webスポルティーバ

 身長は今回トライアウトに参加した51人のなかで最も高い192センチ。その大きな背中にある番号は「001」。元楽天のサウスポー・片山博視はこの2年間、育成選手としてシーズンを過ごした。ただ、過ごしたといっても、今年3月に左ヒジの側副靱帯の再建手術(トミー・ジョン手術)を受け、リハビリに明け暮れる毎日だった。

【写真】トライアウトに現れた「元ドラフト1位」たち

「トミー・ジョン手術を受けた時点で、戦力外通告を受けるかもしれないという覚悟は持っていました」

 4月に30歳となった育成選手がシーズン前に手術を受けるということは、そういうことでもあった。10月1日に球団から戦力外通告を言い渡されると、片山はトライアウトを目標とし、調整を続けてきた。

 手術から8カ月。良化途上での登板は、打者4人に対し、1安打、1四球、2奪三振。この日の最速は134キロだったが、片山は「予想していたよりも15キロぐらい速かったです」と顔をほころばせ、こう続けた。

「ピッチング練習でも120キロぐらいがほとんどでしたし、今日のブルペンでは(ヒジに)少し痛みがありました。自分でも大丈夫かなと思ったんですけど、思っていた以上に投げることができました」

 正直、ボール自体は、ネット裏に並んだ各球団の編成担当者の目を引くものはなかった。しかし、登板後の片山は終始、晴れやかな表情を浮かべ、報道陣の質問にも丁寧に答えていた。

「ここで投げられたことが一番。結果より、まずマウンドに立てるかどうかだったので......。生き残りの場ですけど、本当に久しぶりに実戦のなかで投げられて、やってきたことが間違いじゃなかったと思えました」

“ひと区切り“のすっきりした笑顔ではなく、この先が楽しみでしょうがないというような笑顔。

 片山には、個人的に懐かしい思い出がいくつもある。その名前を初めて聞いたのは、彼が中学3年のときだった。兵庫のある高校の監督が「“淡路の怪物“が、今度、報徳学園に入るみたいですよ」と教えてくれたのだ。片山は三原町立(現・南あわじ市立)三原中学3年のときに、エースとして横浜スタジアムで行なわれた全国大会に出場。関東の高校野球関係者からも注目されていた超大型左腕だった。

 報徳学園入学後は1年から経験を積み、2年のときには春夏連続して甲子園に出場。そのなかで片山を見るたびに魅了されていったのは、投手ではなく打者としてだった。3年になると4番を打ち、スケール感のあるバッティングを披露。当時のスカウトのなかにも「打者・片山」を評価する人は多かった。

 逆方向にも一発を打てる長打力に柔らかなバットコントロール。もし打者に専念し、体ができてくれば、どれほどのバッターになるのか......そんな夢を見させてくれる素材だった。

 一方で、投手としても3年夏の兵庫大会で1試合17奪三振の快投を見せるなど成長。2005年に高校生ドラフト1巡目で指名した楽天は、投手としての片山を高く評価していた。

 プロ3年目の2008年に2勝を挙げ、2011年には中継ぎを中心に59試合に登板。その後も一軍の戦力として活躍したが、2014年に左ヒジ痛を発症。結局、この年は4試合だけの登板に終わる。

 そして2015年、春のキャンプで再び左ヒジを痛め、野手に転向。オフには育成契約となった。それでも、翌年春のキャンプの紅白戦で特大のホームランを放ち、スポーツ紙に大きく報じられることもあった。

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最終更新:2017/11/17(金) 12:56
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