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早すぎたトライアウト。「高卒プロ入り→戦力外」の道に後悔はあるか

2017/11/18(土) 8:22配信

webスポルティーバ

 行けるときにプロへ進むべきか。それとも、大学や社会人野球で力をつけてからプロに行くべきか。高校生のドラフト候補は大きく分けて、このどちらかの選択を迫られる。もちろん、どちらが正解というのではない。ただ高校生のドラフト候補の場合、体力的にも技術的にも発展途上の選手が多く、進む道を間違ってしまったがために才能を発揮できぬまま野球界を去った者も少なくない。今回、高卒から下位指名、もしくは育成選手としてプロに入ったものの、若くして戦力外通告を受け、トライアウトに挑戦した3人の選手を追った。はたして、彼らの選択は正しかったのだろうか……

■30歳のトライアウト。手術、育成、戦力外でも「元怪物」は終わらない

 2013年の育成ドラフト1位で岸本淳希は中日から指名を受けた。敦賀気比高(福井)時代はエースを務め、3年春のセンバツでベスト4入りを果たした。全国の舞台で実績を残したものの、制球面での不安を拭えず、本指名にはいたらなかった。

「とにかくプロに行きたいという気持ちが強かった」と、岸本は育成指名の評価にためらうことなく、プロの世界へ飛び込んだ。

 1年目のシーズン後半にはファームの抑えに定着し、チーム最多セーブを記録。2年目には育成選手ながらファームでチーム最多登板を果たすなど、経験を積んだ。

 3年目の2016年は四国アイランドリーグplusの香川オリーブガイナーズに派遣選手としてプレー。“独立リーガー”たちとともに汗を流した。

「もちろんNPBの試合で結果を出してアピールするのが一番ですけど、登板機会も多くいただきましたし、独立リーグの選手たちと過ごすなかで刺激もたくさんもらいました。自分にとって間違いなく無駄ではない、成長につながる時間でした」

 そう断言できる充実した時間を過ごし、研鑽(けんさん)を続けてきた岸本はその年のオフ、念願の支配下登録を勝ち取った。

 2ケタの背番号を手にし、満を持して臨んだ4年目の今季だったが、一軍昇格はならず。シーズン終了後に「あるかもしれないと、警戒はしていました」という戦力外通告を言い渡され、今回のトライアウトに挑むこととなった。

「背番号59は支配下登録のときに自ら選んだ番号なんですが、一軍のマウンドを見せてやれず、かわいそうなことをしてしまった。(トライアウトの)会場が一軍の試合で使う球場だったので気合いが入りました」

 気合い十分で臨んだマウンドで2つの三振を奪い、許した安打も内野安打の1本のみ。最速145キロをマークし、本人も「球速以上にボールが走っている感覚があった」と手応えを口にした。

 話題がドラフト当時のことに及ぶと、岸本は言葉を選びながらこう答えた。

「いま思うと『将来的に上位で』と、進学するのもひとつの手段だなと思います。だけど、当時は『プロに行きたい』という気持ちばかりで、それ以外の選択肢は考えられなかった。考える力がなかった……といえるかもしれませんね。今回、戦力外になりましたけど、高卒の育成選手としてプロの世界に飛び込んだことに後悔はまったくありません」

 現在21歳。「ケガもないし、体もバリバリ動く」と吉報を心待ちにしている。

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最終更新:2017/11/18(土) 16:08
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